東京藝術大学キュレーション教育研究センターが開設する公開授業「社会共創科目」の、2026年度開講ラインナップが公開された。
公開授業「社会共創科目」は、東京藝術大学の学生を対象とした授業に社会人(一般の方は誰でも)が参加できるという枠組みで、同大学初の試みとして2023年度にスタートした。美術、音楽、パフォーミングアーツなど、第一線で活躍する学内外の講師陣を迎えて、様々な「キュレーション」の手法を学べる授業が構成されている。学び直しやリスキリング、越境学習の場として社会人向けアートスクールへの関心が高まるなか、例年募集開始直後に定員が埋まる人気講座となっている。

2026年度は全6科目が開講され、うち4科目は内容が大きくリニューアルされる。開講科目の一覧は以下の通り。
開講科目一覧
・芸術環境創造論2☆
・上演・演奏のためのキュレーション1:実践から考える☆
・演習:アートプロジェクト したまちフィールドワーク
・現代美術キュレーション概論☆
・展覧会設計演習
・社会包摂のためのアートプロジェクト:音楽×身体表現×福祉Ⅱ(実践編)☆
※「展覧会設計演習」「音楽×身体表現×福祉」は「有楽町藝大キャンパス」の一環として開講いたします※
☆…2026年度リニューアル科目
プロジェクト型アートの最前線を読み解く「芸術環境創造論2」では、講師ラインナップを大幅に変更。「住み開き」などで知られる文化活動家・アサダワタル、「コミュニティマネジメント」を専門とする東京都市大学都市生活学部・坂倉杏介らが特別レクチャーやディスカッションを担当する。
2024年度に開講されていた「パフォーミングアーツ・キュレーション概論」の後継科目「上演・演奏のためのキュレーション1:実践から考える」では、音楽家・大友良英、アートプロデューサー・相馬千秋、ドラマトゥルク・長島確らが連続講義を担当する。野外音楽フェス、国際舞台芸術祭、クラシック音楽専門ホール、オルタナティブスペースに至るまで、多様な場での公演制作の舞台裏についてが語られる。
キュレーションの現在が概観できる「現代美術キュレーション概論」では、2026年度から新たに3名の講師が登場。日本で初めて西洋美術中心の私立美術館として設立された大原美術館(岡山)の運営や、AIやエコロジー、資本主義をめぐるアートシーンの動向などについて取り上げる授業が加わった。
「社会包摂のためのアートプロジェクト:音楽×身体表現×福祉Ⅱ(実践編)」では、ウェルビーイングとアートが交差する最前線について、実践的な学習の場が新たに用意された。受講者は、足立区内小学校を会場として実施されるプログラムの運営に実際に参加することが予定されている。
開講科目の担当講師らによるコメントも公開。
〈前期開講「芸術環境創造論 2」担当教員(大学院国際芸術創造研究科 准教授〈4 月着任予定〉・⻑津結一郎)〉
今年開講する芸術環境創造論2は、プロジェクト型アートが社会の中でどのように展開されているのか、その理論と実践を横断的に学ぶ機会をつくりました。ゲストとしてお越しいただくのは、いずれもアートにかかわる現場の最前線で活動する若手・中堅の方々です。レクチャーだけでなく、質疑応答やディスカッションもたっぷりご用意しています。〈前期開講「上演・演奏のためのキュレーション 1:実践から考える」担当教員(大学院国際芸術創造研究科 准教授・⻑島確)〉
今年度から新しく始める「上演・演奏のためのキュレーション」は、まずは実践編から始め、歴史編、理論編と続く予定です。実演系芸術のキュレーションは確立した分野ではないので、講座自体も将来へ向けた試行と研究の現場そのものとなると思います。ジャンル間の「横のドア」を開けるために、実践の現場にすでに関わっている方、またはこれから関わりたいと思っている方にぜひ受講していただきたいと思っています。〈通年開講「演習:アートプロジェクト したまちフィールドワーク」担当教員(吉田武司・⻑尾聡子)〉
古くは宿場町として栄え、新旧入り混じる千住。このまちにキャンパスを構える藝大が、アート NPO や足立区シティプロモーション課等と運営のタッグを組み 16 年目を迎える市⺠参加型アートプロジェクトのマネジメント現場を体験できる授業です。まちづくりとアートのかかわりに関心のあるみなさまに受講いただけると嬉しいです。〈後期開講「現代美術キュレーション概論」担当教員(キュレーション教育研究センター 特任准教授・難波祐子)〉
本授業では、美術館・博物館関係者はもとより、普段アートとは直接関係のない部署で働いているビジネスパーソンなど多様な受講生が参加しています。また藝大生も学部・大学院の幅広い専攻の学生が受講している大変ユニークな授業です。現代美術の「キュレーション」の今を知ることで、従来の美学・美術史的な発想とはまた別の視点でアートと社会の関係を捉え直すきっかけが見つかるかもしれません。
6科目のうち、通年および前期に開講される「芸術環境創造論2」「上演・演奏のためのキュレーション1:実践から考える」「演習:アートプロジェクト したまちフィールドワーク」の3科目は、4月1日(水)正午より受講生募集が開始される。後期開講の「現代美術キュレーション概論」「社会包摂のためのアートプロジェクト: 音楽×身体表現×福祉II(実践編)」は、夏ごろに募集が開始される予定。有楽町藝大キャンパスで実施される「展覧会設計演習」は、4月19日(日)まで選考ありの申込を受け付けている。開講日程や費用などの詳細は、東京藝術大学キュレーション教育研究センターの特設ページにて確認可能。