杉原邦生の演出による歌劇『愛の妙薬』が、1月18日(日)に京都・ロームシアター京都にて上演される。
同作はスペイン・バスク地方の小さな農村で「愛の妙薬」を巡って繰り広げられる、イタリアの作曲家・ドニゼッティによるロマンティックコメディ。テノールの名アリア”人知れぬ涙”をはじめ、”受け取って、私のおかげであなたは自由””この薬はなんでも治します”などの名曲の数々、切なくもハッピーな展開は、数あるドニゼッティのオペラ作品の中でも高い人気を誇っている。
ギリシャ悲劇から歌舞伎、現代劇まで幅広いジャンルの舞台演出を担当し、プロデュース公演カンパニー「KUNIO」の主宰としても知られる演出家・杉原が、オペラの演出を手掛けるのは同作が初となる。杉原と、指揮を務めるセバスティアーノ・ロッリによるコメントも公開されている。
〈演出家〉という肩書きを主として活動しているからには、いつかオペラの演出をしたいと思い続けてきました。なので、「初めまして、お待ちしておりました」という気持ちです。しかも、どちらかといえば〈悲劇の演出家〉に属する僕にとって〈喜劇〉というのも新鮮で、「そうきましたか!」という思いです。
杉原邦生
『愛の妙薬』を初めて観た(聴いた)とき、なんだかカワイイ作品だな、と一番に感じました。スペインのバスク地方の小さな村を舞台に、偽りの恋薬に翻弄される人々の姿が、僕にとってはとてつもなくカワイく思えたのです。いまや〈カワイイ〉は世界共通語となり、その言葉の持つ意味も大きな拡がりを見せています。僕が感じた〈カワイさ〉をキーワードに、祝祭感と多幸感溢れる作品にしたいと思っています。
指揮のセバスティアーノ・ロッリさんをはじめ、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんにお集まりいただきました。また、ダンサーには過去に僕の演出作品を彩ってくれた俳優、ダンサーたちが名を連ねてくれました。このメンバーでお贈りする「KUNIオペラ」第一弾(笑)にどうぞご期待ください!
ロマン派喜歌劇の礎となった『愛の妙薬』を深く理解するには、それ以前の様式との比較が鍵となります。それまでイタリア・メロドラマの喜劇といえば、登場人物も音楽も、共感が望めないものでした。そんな典型を覆したのが、1832年生まれの今作です。観客が登場人物たちと一緒に泣いたり笑ったりできるようになったことは、当時、大変画期的な出来事でした。背景には、フランス革命で見いだされた、社会の平等への理想や憧れがあります。喜劇は社会参加の場となり、劇場は娯楽としての空間から成熟へと向かう契機となりました。ドニゼッティの特筆すべき音楽的手法は感情移入を誘い、狡猾なドゥルカマーラ博士や、貧農のネモリーノをはじめとした登場人物へ観客は自身を投影していきます。それまで女王など高貴な人物のための楽器であったハープが、農民の若者の涙ぐましい歌声を支えるようになった変化には、人間の気高さとは出自などの生得的なものではなく、精神的なものであるというメッセージが込められています。ベートーヴェン、そしてシラーも想いを託した「人類みな兄弟」という言葉は、今作のドニゼッティの声を通して、より強く、今を生きる私たちに響くことでしょう。
セバスティアーノ・ロッリ(指揮)
京都での同公演は、2025年11月に開催された東京・東京芸術劇場公演、大阪・フェニーチェ堺公演を経ての最終公演となる。前2公演と異なり、テノールのネモリーノ役には糸賀修平、バリトンのベルコーレ役には池内響が出演する。
歌劇『愛の妙薬』
ロームシアター京都メインホール
2026年1月18日(日) 14:00開演
[料金] SS席:13,000円、S席:11,000円、A席:8,000円、B席:6,000円、C席:4,000円、
D席:3,000円、S席25歳以下:5,000円、S席18歳以下:3,000円
[会員特別価格] SS席:12,000円、S席:10,000円
[発売] 一般発売 6月28日(土)/会員先行 6月21日(土)
[主催] ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都市
[特別協賛] 日東薬品工業ホールディングス株式会社
[問合] ロームシアター京都チケットカウンター 075-746-3201(10:00~17:00)
演出 杉原邦生
指揮 セバスティアーノ・ロッリ
■出演者
アディーナ役(ソプラノ) 高野百合絵
ネモリーノ役(テノール) 糸賀修平
ベルコーレ役(バリトン) 池内響
ドゥルカマーラ博士役(バリトン) セルジオ・ヴィターレ
ジャンネッタ役(ソプラノ) 秋本悠希
■ダンサー
福原冠
米田沙織
内海正考
水島麻理奈
井上向日葵
宮城優都
■合唱団
堺+京都公演特別合唱団[大阪・京都]
■管弦楽
京都市交響楽団[京都]
■スタッフ
美術:金井勇一郎
照明:髙田政義(RYU)
音響:石丸耕一(東京芸術劇場)
衣裳:丁瑩
ヘアメイク:国府田圭
振付:北川結、仁科幸(モモンガ・コンプレックス)
字幕:小田知希(日本語)、家田淳(英語)
合唱指揮:O博之、鴇田遼人
副指揮:松川智哉
コレペティトゥア:江澤隆行
演出助手:根岸幸
舞台監督:酒井健
プロダクションマネジャー:關秀哉、柴田貴槻(アシスタント)
宣伝美術:加藤秀幸(grind house)
宣伝イラスト:リック
■共同制作館
東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
フェニーチェ堺(公益財団法人堺市文化振興財団)
ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
■助成・後援
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業(共同制作支援事業))
独立行政法人日本芸術文化振興会
特別協賛:日東薬品工業ホールディングス株式会社(京都公演のみ)
後援:イタリア大使館
【あらすじ】
純朴な農夫ネモリーノは村一番の美人である農場主の娘アディーナに夢中。軍曹のベルコーレが彼女を口説くのを聞き、ネモリーノも勇気をふるって告白するが相手にされない。
そこへやって来たインチキ薬売りのドゥルカマーラ博士が、「愛の妙薬」と称した安物のワインをネモリーノに売りつける。酔っ払ったネモリーノは急に強気になるが、態度の豹変っぷりに怒ったアディーナはベルコーレとの結婚を宣言。必死のネモリーノはさらに妙薬を買うお金を得るために軍隊に入隊する。彼の愛情に心を打たれたアディーナはネモリーノについに愛を告白、ふたりは晴れて結ばれるのだった。