坂本美雨がデジタルシングル“If I must die”を11月5日(水)にリリースした。
音楽活動にとどまらず、ラジオやテレビの司会、執筆、演劇など、表現の幅を広げているアーティスト、坂本美雨。近年は、イスラエル軍により甚大な被害を受けているパレスチナ自治区の人道支援にも力を注いでおり、アーティストによるガザの人道支援を集めるためのオークション・Watermelon Seeds Fundraiserを主宰。収益金を現地へ届ける活動を続けている。
このたびリリースされた“If I must die”は、イスラエルの空爆で命を落としたガザの大学教授 / 詩人・リフアト・アルアライール(Refaat Alareer)の詩『If I must die』にメロディを付け坂本が歌唱した楽曲。オリジナルの詩は、アルアライールの死とともに世界に広まり、70以上の言語に翻訳されている。
作曲 / 編曲 / プロデュースは、映画『国宝』の⾳楽を手がけ、近年坂本と創作を続けている⾳楽家・原摩利彦が担当。10人のストリングスとピアノをバックに、坂本はガザの人々に祈りを捧げたボーカルを披露している。ジャケットは、坂本が司会をつとめるNHK Eテレ『日曜美術館』の収録で出会い意気投合した画家・黒田征太郎の作品『戦争童話集』の中から『年老いた雌狼と女の子の話』が起用された。

同楽曲についての坂本のコメントは以下の通り。
この二年余りで、自分の考え方も生活も大きく変わりました。この時代に虐殺が起き、世界が残虐さを止められないだなんて、思ってもみませんでした。大国の後ろ盾を得たイスラエル軍によるパレスチナの占領と虐殺が何十年も続いてきたこと、自分も無関心によって知らず知らずに加担してきてしまったのだと知りました。当たり前に人間が持っていると思っていた良心やヒューマニティというものが崩壊している様を目にして絶望を感じると同時に、ガザの人々とメッセージのやりとりを通して友だちになり、初めてパレスチナ人の強さとあたたかさ、その人柄や文化に触れ、毎日心の中でパレスチナのみんなと共に暮らしているような日々でした。
坂本美雨
パレスチナで起きていることは世界中の人が他人事ではなく、日本も、私たちの生活も、命を殺すことに関係している。それは人としてもアーティストとしても受け入れ難いことで、そんな世界の構造を、仕方ない、と見て見ぬふりすることはできません。このままの世界を自分の子供に渡すことも絶対に嫌です。
これからの子どもたちは「なんでこんなこと止められなかったの? 大人たちはいったい何をしてたの?」と疑問に思うでしょう。その時に、何もできなかったんだよ、と答えるのでしょうか。本当にそうでしょうか?
すぐに結果に繋がらなかったとしても、個人ができることは、BDS運動(消費者ボイコット/投資撤退/経済制裁)、支援など、たくさんありますが、まずは一人の人の人生に触れること。それが、違う背景を持つ人を身近に感じ、自分や自分の大切な人の命と同じ尊さなのだと思うことに繋がるのではないかと感じます。誰かの人生の物語を心のそばにおくことで、その人のためにできること、したいことが生まれてくるのだと思います。
パレスチナの書き手を支援する「We Are Not Numbers」(私たちは数ではない)というグループを率いていたガザの詩人リフアト・アルアライールが、殺害される前に残した『わたしたちの物語が語られ、希望となるように』という願いをわたしは全身で受け取り、響かせたいと思っています。それはパレスチナについて伝えることだけではなく、社会に渦巻くあらゆる差別に抗うことなのではないかと思います。
If I must die

坂本美雨
2025年11月5日(水) デジタル配信
ユニバーサルミュージック
試聴・購入:https://MiuSakamoto.lnk.to/IfImustdiePR
Lyrics: Refaat Alareer (1979-2023)
Music: 原摩利彦
Produced & Arranged by 原摩利彦