12月12日(金)〜25日(木)の2週間、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催される『カンヌ監督週間 in Tokio 2025』のフルラインナップが公開された。
1968年、作家性や芸術性の高い作品を称揚するためにカンヌ映画祭に創設された独立部門「監督週間(Quinzaine des cinéastes/Director’s Fortnight)」。同イベントでは、その最新ラインナップを日本国内でいち早くスクリーンで鑑賞できる。映像産業振興機構(VIPO)との共同主催により2023年に初開催され、今回で3度目を迎える。これまでに、第57回「監督週間」(第78回カンヌ国際映画祭)より『ザ・プレジデンツ・ケーキ』『国宝』『ミラーズ No.3』『ザ・ガール・イン・スノウ』『イエス』の5作品が上映作品として発表されていた。
今回、新たに『見はらし世代』『ハー・ウィル・ビー・ダン(英題)』『ピーク・エヴリシング(英題)』『パーティーズ・オーヴァー!(英題)』『ワイルド・フォクシーズ(英題)』『ソーリー、ベイビー(原題)』の6作品の上映が決定。計11作品のフルラインナップを紹介する予告編映像も解禁された。
『見はらし世代』 (英題:Brand New Landscape) ※英語字幕版での上映

監督:団塚唯我
出演:黒崎煌代 遠藤憲一 井川遥 木竜麻生
制作国:日本
【2025年|115分|日本】 ©2025 シグロ / レプロエンタテインメント
自分たちを捨てた父親を許せるだろうかーー。母の死に続き、仕事を優先する父にも去られた姉と弟が、成人後に改めて父親と向き合う。普遍的な家族の風景から、父が手掛ける都市の再開発がもたらす影響まで、幅広い視点を含み、リアルとファンタジーが交差する独特の世界観をシャープな映像美で描いてみせる団塚監督は、日本人史上最年少となる26歳でカンヌ国際映画祭「監督週間」選出となった。
『ハー・ウィル・ビー・ダン』 (英題:Her Will Be Done)

監督:ジュリア・コワルスキー
主演:マリア・ヴルーベル、ロクサーヌ・メスキダ、ジャン=バティスト・デュラン、ラファエル・ティエリー
制作国:フランス、ポーランド
【2025年|95分|フランス、ポーランド】 © Grande Ourse Films, Venin Films
畜産業の実家を手伝う若い女性のナヴォイカは、亡き母と同様に、体内に悪魔がいると自覚している。ナヴォイカの欲望の高まりとともに、悪魔が破壊的な力を彼女にもたらす。村を離れていた奔放な女性が隣家に戻って来ると、ナヴォイカの運命が動き出す。フランスにおけるポーランド移民のコミュニティを背景に、エクソシズムとフェミニズムが斬新な融合を見せる新感覚ドラマ。コワルスキー監督長編第2作。
『ピーク・エヴリシング』 (英題:Peak Everything)

監督:アンヌ・エモン
主演:パトリック・イヴォン、パイパー・ペラーボ、ジル・ルノー、エリザベス・マゲレン、エリック・K・ブリアンヌ
制作国:カナダ 【2025年|100分|カナダ】 ©Metafilms inc
モントリオールでペットホテルを営む48歳の独身男性アダムは、環境破壊の進行による終末を恐れ、不安に苛まされている。オンラインで購入した癒しグッズのカスタマーサービスを心の相談窓口と勘違いして電話してみると、応対した女性に恋してしまう!孤独で不安なアダムの世界は、自然災害を経て不思議な迫力に満ちていく。世界が終わる前に愛を知りたい男性が疾走するアポカリプス・ラブ・ストーリー。
『パーティーズ・オーヴァー!』 (英題:The Party’s Over!)

監督:アントニー・コルディエ
主演:ローラン・ラフィット、エロディ・ブシェーズ、ラムジー・ベディア、ロール・カラミー、サミ・ウータルバリ、ノエ・アビタ、マヒア・ズルーキ 制作国:フランス 【2025年|95分|フランス】 ©Cheyenne Federation
裕福な家族が豪華な別荘で楽しく休暇を過ごしているが、次第に管理人夫婦との関係がぎくしゃくしていく…。格差社会の強者と弱者が、やがて全面戦争に突入する様子を描くダーク・コメディ。目まぐるしい対決は笑いを誘うと同時に残酷であり、フランス社会の本音と建前が露呈する。絶えず形勢の逆転を試みるキャラクターたちを生き生きと演じる、ローラン・ラフィットやロール・カラミーらのスター俳優にも注目。
『ワイルド・フォクシーズ』 (英題:Wild Foxes)

監督:ヴァレリー・カルノワ
主演:サミュエル・キルヒャー、ファイサル・アナフルー、ジェフ・ジェイコブス
制作国:ベルギー、フランス
【2025年|92分|ベルギー、フランス】 ©HÉLICOTRONC — LES FILMS DU POISSON
全寮制のスポーツ寄宿校でボクシングを専攻するカミーユは、有望選手だったがケガをきっかけに調子を崩し、チームメイトとの関係も悪化していく。しかしその一方でテコンドー選手の女性と知り合う…。豊かな自然の中でスポーツ競技の光と影、そして青春の挫折と輝きがストレートに描かれる。カルノワ監督による長編デビュー作であり、「監督週間」部門でフランス語の作品に与えられるSACD賞を受賞。
『ソーリー、ベイビー』(原題) (原題:Sorry, Baby)

監督:エヴァ・ヴィクター
出演:エヴァ・ヴィクター、ナオミ・アッキー、ルイス・キャンセルミ、ケリー・マコーマック、ルーカス・ヘッジズ、ジョン・キャロル・リンチ 制作国:アメリカ
【2025年|103分|アメリカ】 © 2025 PROJECT ALPHA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
アメリカ北東部、ニューイングランドの大学で文学者を志すアグネスが、親友との深い絆を大切にしながら、人生を揺るがす難事に対峙していく物語。暖かくユーモラスな空気と、最悪の事態を迎えるビターな要素が巧みにブレンドされ、省略を効かせた静かな演出とスタイリッシュな映像のセンスが光る。本作が長編第1作となるエヴァ・ヴィクター監督が主演も務めている。サンダンス映画祭脚本賞受賞。
さらに、2014年に監督週間で上映された高畑勲監督の『かぐや姫の物語』が特別上映されることも発表された。フランスのパリ日本文化会館で開催されている、ヨーロッパ初となる高畑監督の展覧会『高畑勲 今日のアニメーションのパイオニア—戦後からスタジオジブリまで』に合わせ、「監督週間」のアーティスティックディレクターを務めるジュリアン・レジによりセレクトされた。
今年10月から、ヨーロッパで初めてとなる高畑勲監督の展覧会がフランス・パリで開催されており、それに合わせてフランス過去最大規模となる高畑勲監督特集上映や有識者による講演会なども行われています。フランスがようやく彼の全作品を知る機会となりました!この機会に、日本のアニメーションを心より歓迎している「監督週間」として、私自身のお気に入りの映画の一つとして、本作を紹介できることに喜びを感じています。
ジュリアン・レジ(カンヌ国際映画祭「監督週間」アーティスティックディレクター)
★特別上映★
『かぐや姫の物語』 (英題:The Tale of The Princess Kaguya) ※英語字幕版での上映

監督:高畑勲
声の主演:朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子 ほか
制作国:日本
【2013年|137分|日本】 © 2013 Isao Takahata, Riko Sakaguchi/Studio Ghibli, NDHDMTK
都のはずれの里山に、働き者の翁と媼が暮らしていた。ある日、竹林を訪れた翁は、光る不思議な竹に気づき、近づくと竹の子の中から小さな可愛らしい女の子が現われた。女の子を連れ帰った翁は自分たちの子として大切に育てる。女の子は村の子どもたちと元気に遊び回るうちに、みるみる美しい娘へと成長する。驚いた翁は娘を姫に相応しい女性に育てるために都へ居を移し、教育を受けさせる。そして「かぐや姫」として都中の評判になるのだった。姫の美しさを聞きつけた5人の求婚者が現われる。姫は彼らに婚姻の条件として難題を課すのだが…。
各作品の上映スケジュールは、同イベントの公式サイトにて公開されている。
『カンヌ監督週間 in Tokio 2025』

【日程】2025年12月12日(金)〜25日(木)《14日間》
【会場】ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル7・8F)
■主催:監督週間(Quinzaine des Cinéastes/Directors’ Fortnight)/特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
■共催:東京テアトル株式会社 ■宣伝:SUNDAE(Powered by Filmarks)■特別協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ/株式会社ティー ワイ リミテッド ■協力:AKIRA H/株式会社IMS Group/株式会社平成プロジェクト/株式会社セレモニー/金延宏明(ノブ・ピクチャーズ)/在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
© Cannes Directors Fortnight in Tokio 2023-2025