書籍『日本語ラップ 繰り返し首を縦に振ること』が8月に発売予定となっている。
同書は、「韻踏み夫」名義で批評家/ライター活動を開始し、今回初めて本名での刊行となった中村拓哉が手がけたもの。RHYMESTERの宇多丸を最も重要な日本語ラップ批評家だと位置づけつつ、ヒップホップとは「“一人称”の文化」だというテーゼに注目。ヒップホップの本質を「反復=肯定」と概念化し、思想的に展開。作品論の実践として、SEEDAの『花と雨』を具体的に読み解いていく内容となっている。
ヒップホップに特権的な身振り、身体性とは、「繰り返し首を縦に振ること」である。それは反復の身振りであり、かつ肯定の身振りである。首を振るという身振りにおいて、反復と肯定が結合されるのだ。首を振ること、すなわち反復=肯定。これこそ、私たちが最も重視する、ヒップホップの本質を表現するアレゴリーである
本文より
『日本語ラップ 繰り返し首を縦に振ること』

2025年8月発売予定
【目次】
序文
第一部 日本語ラップの「一人称」
第一章 日本語ラップ批評宣言 いとうせいこうから宇多丸へ
第二章 「一人称」の翻訳性
第三章 「空虚」な「一人称」からストリートへ
第四章 ヒップホップ・フェミニズム
第五章 「J」の殺戮者としての日本語=反日ラップ
第六章 ポスト68年としてのヒップホップと日本語ラップの皮肉な勝利
第二部 反復=肯定の思想
第一章 微分、一義性、反復=肯定
第二章 中性的なものの反復=肯定
第三章 非感性的類似と韻
第四章 同じであること、非人称的ナルシシズム
第五章 反復的な生の救済のドラマ
第三部 ディスクールの詩学
第一章 ラップの詩学
第二章 ミュトス、ミメーシス、隠喩
第三章 SEEDA『花と雨』
「一人称」のディスクール━━あとがきにかえて