9月5日に日本公開される『九月と七月の姉妹』(原題:September Says)の本編特別映像が解禁された。
第77回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品された同作は、デイジー・ジョンソンの小説『九月と七月の姉妹』に着想を得て制作された。わずか10か月違いの姉妹である我の強い姉・セプテンバーと内気な妹・ジュライの関係が変化していく姿を描いた作品となっている。
ふたりが通うオックスフォードの学校でのいじめをきっかけに、シングルマザーのシーラと共にアイルランドの海辺近くにある⻑年放置された⼀族の家「セトルハウス」へと引っ越したことから物語が展開。新しい⽣活のなか、ただの戯れだったはずの命令ゲームを通して、セプテンバーとジュライの関係は不可解なかたちで変化し、外界と隔絶された家の中には不穏な気配が満ちていく。監督は今回が長編デビューとなるアリアン・ラベドが務め、セプテンバーとジュライはパスカル・カンとミア・サリアが演じた。
今回解禁された映像は、伝令ゲーム「サイモン・セッズ」(Simon Says)をアレンジした命令ゲーム「セプテンバー・セッズ」(September Says)に興じる姉妹の様子をとらえたもの。姉セプテンバーの指示が「回って」「鼻をなめて」といった無邪気な内容から、不穏な命令になっていく場面が写し出されている。
また、アリアン・ラベドへのインタビューテキストも公開された。前半は16ミリフィルム、後半は35 ミリフィルムで撮影した理由について、「ジュライの現実認識の変化を、さりげなく⽰す⼿段としたかった」と語る。またワイドショットを多用した撮影⼿法について、「閉ざされた空間にある⾝体と、⾃然の広がりの中に置かれた⾝体、その両⽅を捉えたかった。フレームの中で⾝体が現れたり消えたりする『余⽩』を⽣み出すため」とし、「姉妹は共通の⾝体⾔語を持っていて、それが⺟・シーラとも融合していく」と述べ、「彼⼥たちは、賛美歌のような響きを持つ共通の『⾳楽的感覚』を共有している。そういった遊びややり取りを通じて、映画の中にある種の『軽やかさ』を⽣み出そうとした」と語る。そして、「親しい関係とは、奇妙さとおかしさが混じり合うもの。私はそれを、過度な感情(パトス)に陥ることなく探ろうと考えた」と、作品に対しての思いを明らかにした。
『九月と七月の姉妹』(原題︓September Says)

監督・脚本︓アリアン・ラベド
出演︓ミア・サリア、パスカル・カン、ラキー・タクラー
原作︓デイジー・ジョンソン『九⽉と七⽉の姉妹』(東京創元社刊)
レイティング︓PG12
© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation,ZDF/arte 2024