書籍『ヒップホップ経営学』が、8月5日(火)に刊行される。
人種差別や貧困などの逆境をはねのけて富を築いたラッパー、ヒップホップ業界人を経営学の観点から分析した同書。起業から資金調達、市場参入、ブランディング、プロモーション、人材管理、イノベーション、財務と法務、多角化まで、製品ライフサイクルに沿った章立てで順を追ってビジネスの基本を知ることができる。また、事例としてジェイ・Z、ドクター・ドレー、カニエ・ウェスト、ドレイク、シュグ・ナイト、リアーナらを紹介。具体的な事例からもビジネスで成功するための知恵を学べる内容となっている。執筆はナイジェリア系イギリス人の著述家であるネルス・アビー、翻訳は翻訳家 / 評論家の山形浩生が担った。
『ヒップホップ経営学 お金儲けのことはラッパーに訊け』

〈目次〉
はじめに――名もなき者たちの台頭
株を選ぶ者 VS ビートを選ぶ者
資本主義創建の被害者たち
ヒップホップ――現代の価値ドライバー
ヒップホップ需要弾力性
本書の狙いと学習の要点
◆第1部 突破口をつかむ
第1章 市場調査
・市場調査をしたボディガード
第2章 ビジネス開発
・ヒップホップの先駆的ビジネス開発者
第3章 資本調達
・アメリカン・エキスプレス式資金調達アイデア VS ヒップホップの現実
・ヒップホップのエンジェル投資家
第4章 市場参入
・まわりから抜きん出る
・ドレイク――底辺からの出発(スターティング・フロム・ザ・ボトム)
・定石外れの市場参入
◆第2部 ブレイク
第5章 評判とブランド
・ファレル・ウィリアムス――ビート、ライム、永遠の若さ
・スティーブ・スタウト――橋渡し役
・ジミー・ヘンチマン――おれの名前がおれの名(マイ・ネーム・イズ・マイ・ネーム)
・評判をブランドに変える方法
・ブランド VS 評判
・ヒップホップ・ブランドのタマネギ
・ブランドをマネタイズ
・ヒップホップとブランドの三つのE
第6章 リスクと報酬
・ヒップホップのリスクと報酬
・50セント――リスクの男
・7万5000ドルの小切手
・リスクを嫌うハリウッド大物の誕生
第7章 交渉
・交渉材料――パワーブローカー、ヤバいマザーファッカー
・交渉材料を活用した交渉とサザンヒップホップの台頭
・ノー・リミットとキャッシュ・マネー
第8章 プロモーション
・マーケティングミックスのリミックス
・ストリートチーム
・「システムをむしれ」
・善行がよいプロモーションに
第9章 ビジョンとミッション
◆第3部 上を目指す
第10章 リーダーシップと経営管理
・ロッカフェラの興亡
・ソー・ソリッドのメガマンに学ぶリーダーシップ12のルール
第11章 人材管理
・採用
・マネジメント――ヒップホップのスーパーマネージャー
・サポート
第12章多様性(ダイバーシティ)
・ストームジー――多様な人々への投資家
・デス・ロウでの多様性
・ラップの鉄の女
・ゲイラッパーの台頭
第13章 イノベーション
・カニエ――ヒップホップのアップル社
・偉大なイノベーターの本能
・境界に挑むイノベーションで評判が転落するとき
第14章 競争
・ヒップホップの競争性
・多様性と競争の激しさ――お飾りだけの女性
・ニッキー・ミナージュとカーディ・B――作られた競争
・ジェイ・Zの市場リーダーシップ戦略
・競争と市場シェア――『ザ・ソース』VS『XXL』
・競争、インフレ、市場シェア――インディーズ VS メジャー
・お芝居としての競争
◆第4部 頂点にとどまる
第15章 進化
・ドクター・ドレー――新しいものを受け入れる
・ジェイ・Z――時代は変化する
・MCハマー――コースから吹き飛ばされて
・純粋性と収益性――逆相関?
第16章 過小評価されている資産と顧客
・アップル・ボトムズ・ジーンズ
第17章 財務と法務
・リアーナ――よい財務顧問と代理人の必要性
・監視人を監視するのはだれ?
・弁護士、訴訟、無法状態
◆第5部 拡大
第18章 多角化
・多角化とヒップホップ
・ケーススタディ――名声活用多角化の実態
・王者となった(フレッシュ)プリンス
◆結論 来た、見た、資本化した
◆謝辞
◆訳者あとがき