岩井俊二監督の長編デビュー作『Love Letter』の公開30周年を記念して、4Kリマスター版が4月4日(金)から公開される。
『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』などの名作を手掛けた監督・岩井俊二。1988年よりドラマやミュージックビデオ等、多方面の映像世界で活動を続け、その独特な映像は「岩井美学」と称され注目を浴びる。
中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇らが出演した同作は1995年の初公開当時、第19回日本アカデミー賞で優秀作品賞を受賞。豊川は優秀助演男優賞と話題賞(俳優部門)、酒井と柏原は新人俳優賞、音楽を担当したREMEDIOSが優秀音楽賞を受賞した。また、一人二役を演じた中山美穂は、ブルーリボン賞、報知映画賞、ヨコハマ映画祭、高崎映画祭などで主演女優賞に輝いた。日本公開後、20カ国以上の国と地域で公開され、2025年1月に行われた計9回目となるリバイバル上映では観客動員数10万人を突破。現在も恋愛映画の金字塔として国内外で愛され続けている。
4Kリマスター版は全国40以上の劇場で上映予定。オンラインショップ「円都市場」では、30周年記念Tシャツも4月11日(金)正午までの期間限定で受注販売されている。上映に際して岩井からのコメントも公開された。
劇場公開から気づけば30年。当時、テレビドラマはいくつかやっていましたが、長編映画は1作目。35mmフィルムで撮影するのもはじめてということもあり、ビデオカメラとは違う集中力が必要でした。「手紙」という題材がとても難しく、脳みそをくたびれさせながら悪戦苦闘して創りあげました。うまくいっているのか最後まで不安でしたが、初号を観た中山美穂さんが涙を流してくれた時に、やっと映画が完成したのかなとホッとしました。中山さんとは、30周年にあわせてロケ地の小樽に行こうと話していたところだったので、突然の報せを受け、とても驚き言葉になりませんでした。そんな時に公開30周年を記念して 4Kリマスターを劇場で上映していただけると聞き、改めて『Love Letter』が永く愛されていることを感じました。今でも、若い方や世界各国の方たちからSNSを通じて「『Love Letter』を観ました」というコメントをいただきます。4Kリマスター化にあたっては、フィルムでは細かい調整が効かなかった部分に手を加え、音声はドルビーSRから5.1chのデジタルサラウンドに変更しているのですが、センターはフィルムの音を残しています。30年の時を超えてスクリーンに蘇る『Love Letter』を、ぜひ劇場でご覧いただければと思います。
岩井俊二
『Love Letter』【4Kリマスター】

4月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
●キャスト 渡辺博子・藤井 樹:中山美穂/秋葉 茂:豊川悦司/少女・樹:酒井美紀/少年・樹:柏原 崇/藤井晶子:范文雀/藤井剛吉:篠原勝之/藤井安代:加賀まりこ/藤井精一:鈴木慶一
●スタッフ 製作:村上光一/企画:重村 一・堀口壽一/エグゼクティブプロデューサー:松下千秋・阿部秀司/プロデューサー:小牧次郎・池田知樹・長澤雅彦/監督・脚本:岩井俊二
撮影:篠田 昇/照明:中村裕樹/美術:細石照美/音楽:REMEDIOS /ラインプロデューサー:亀井宏幸/アソシエイトプロデューサー:加太孝明/協力プロデューサー:河井真也
●製作:フジテレビジョン 製作協力: ROBOT 配給:TOHO NEXT ©フジテレビジョン
<物語>
神戸に住む渡辺博子(中山美穂)が、山の遭難事故でフィアンセの藤井樹(いつき)を亡くして2年が経った。
三回忌の帰り道、樹の家を訪れた博子は、樹の中学時代の卒業アルバムから彼がかつて住んでいた小樽の住所を見つけ出した。博子は忘れられない彼への思いをいやすために、彼が昔住んでいた小樽=天国へ一通の手紙を出した・・・。ところが、あろうはずのない返事が返ってきた。やがて、博子はフィアンセと同姓同名で中学時代の同級生、ただし女性の藤井樹が小樽にいることを知る。博子の恋 樹の恋。
一通のラヴレターが埋もれていた二つの恋を浮き彫りにしていく。小樽を舞台に中山美穂、豊川悦司が贈るピュアラブストーリー。中山美穂が渡辺博子と藤井樹の難しい二役に挑戦している。