第8回『APPLE VINEGAR -Music Award-』のノミネート作品が発表された。
『APPLE VINEGAR -Music Award-』は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が2018年に設立した音楽作品賞。文学界での芥川賞を参考に、新進気鋭のミュージシャンがキャリア初期に発表したアルバムへ贈られるもので、後の作品制作をサポートする賞金を贈呈することで若手ミュージシャンを応援する思いも込められている。2024年の第7回『APPLE VINEGAR -Music Award-』では、大賞を君島大空の『no public sounds』、特別賞を原口沙輔の『アセトン』と野口文の『botto』が受賞した。
第8回『APPLE VINEGAR -Music Award-』では、2024年に発表されたアルバムから後藤が作品を選出。Dos Monosの『Dos Atomos』、HALLEYの『From Dusk Till Dawn』、MONO NO AWAREの『ザ・ビュッフェ』など12作品が選ばれており、3月の選考会を経て、大賞が決定される。なお、選考委員は後日発表される。
第8回『APPLE VINEGAR -Music Award-』ノミネート作品
『Conceive the Sea』 marucoporoporo
『Dos Atomos』 Dos Monos
『Epoch』 松永拓馬
『FIRST LOVE』 んoon
『From Dusk Till Dawn』 HALLEY
『ほころび』 井上園子
『怪物』 黒岩あすか
『明暗』ACE COOL
『public melodies』 Nikoん
『ザ・ビュッフェ』 MONO NO AWARE
『The Way I See You』 Ålborg
『遊泳の音楽』 浦上想起
また、2024年には後藤が中心となり、同アワード当初の思いを発展させるべく、インディペンデントに活動するミュージシャン / アーティストに対して金銭的、技術的な支援を継続して行う目的でNPO法人「APPLE VINEGAR -Music Support-」を設立。NPO活動の一環としてアワードの運営を行っていくことも発表されている。
ノミネート発表に際し、後藤からのコメントも公開された。
アップルヴィネガー賞は8回目を迎えました。
まずは、昨年のクラウドファンディングへのご支援、ありがとうございました。
目標額を大きく超える支援が集まり、この音楽賞の本来の目的であるミューシジャン支援を安価なスタジオの運営により、より具体的に行えることになりました。権威的な力を持つことが目的ではなく、音楽制作における現場の環境が良くなることが私個人のみならず、参加してくれている方々の願いでしたので、本当に嬉しく思っています。
合わせまして、今年から賞の運営はAPPLE VINEGAR -Music Support-というNPOに変わりました。私設というかたちで始まった音楽賞も、これからはさらに、その公共性について考えなければなりません。私個人としては、来年以降は大賞を決めるスタイルからは離れて、ノミネートされた作品それぞれの魅力と達成を讃え、今後の活動を支援する賞に変化させたいと考えています。この賞を楽しんでくれている皆さんの意見も、お聞かせください。
音楽に関わることのみならず、世代を超えて、様々な人たちの様々な創意工夫や達成を喜び、お互いに支え合うような社会への一助になれば幸いです。
そして、今年も素晴らしい12作品を選出しました。
こればかりは何度やっても悩ましく、ある種の後ろめたさから逃れられません。
それぞれの作品だけでなく、2024年に生み出された数々の作品の魅力が、多くの場所で語られることを願います。
後藤正文