2月21日(金)より全国公開される映画『あの歌を憶えている』(原題:Memory)のロング版予告が公開され、映画監督・呉美保、作家・岸田奈美ら6名のコメントも合わせて発表となった。
同映画は、記憶に翻弄される男女がニューヨークのブルックリンで出会い、新たな希望を見つけるヒューマンドラマ。『女神の見えざる手』(原題:Miss Sloane)や『355』(原題:The 355)などで知られ、『タミー・フェイの瞳』(原題:The Eyes of Tammy Faye)で第94回アカデミー賞の主演女優賞を受賞したジェシカ・チャステインが主人公のシルヴィア役を務めた。かすかな遠い記憶を慈しむ若年性認知症を抱えるソールを演じたピーター・サースガードは、第80回ベネチア国際映画祭にて最優秀男優賞を受賞。ほかにも、シルヴィアの妹オリヴィア役にメリット・ウェヴァー、シルヴィアの娘・アナにブルック・ティンバー、シルヴィアの母親サマンサ役にジェシカ・ハーパーなどが出演している。監督はメキシコのミシェル・フランコ。
今回公開されたロング予告では、高校の同窓会で出会ったシルヴィアとソールの関係が描かれており、シルヴィアの後をつけたソールは、雨の中で一晩を明かし、やがて彼女と再会。ソールの姪から「彼を見てほしい」と頼まれたシルヴィアは、彼が若年性認知症を患っていることを知る。その後、二人の距離は徐々に縮まっていくが、ソールの弟の反対やシルヴィアと母の再会など、すれ違いが続く様子が映し出され、最後はカフェで店員から「いつもの?」と聞かれて頷いたソールが、シルヴィアに向かって「何だろう」と笑い合う、温もりに満ちたシーンで締めくくられている。
また、ロング版の予告公開に合わせて、ヴィヴィアン佐藤、呉美保、岸田奈美ら6名のコメントも公開された。
昼はまるでA.ワイエスの「オルガ」のような光が差し、夜はE.ホッパーのような孤独な闇が包み込む。
幽霊のように深い深淵を彷徨う大都会の人々が、一縷の望みを探し求める。
人が生きていくということは、傷という痕跡がつけられていくこと。
その傷は自己治癒により、いずれ瘡蓋(かさぶた)となる。
瘡蓋というタトゥーがあるだけ人は優しくなれる。
―ヴィヴィアン佐藤(アーティスト/非建築家/ドラァグクイーン)
図らずも背負ってしまった大荷物を下ろすことができずに生き続ける。
悲しみと苦しみと虚しさに心蝕まれ薄暗いトンネルの中を走り続ける。
そんな2人が出会い惹かれる瞬間を劇的ではなく詩的に見つめ続ける。
愛を求めることで、人は救われる。
素朴で美しくしあわせな物語でした。
―呉美保(映画監督)
忘れたい女
忘れたくない男
記憶に縛られた2人の人生が交差した時
少女が取った純粋な行動に
胸が熱くなった
―笠井信輔/フリーアナウンサー
忘れてしまうという苦しさだけが、
生きていく支えになる。
そんな時の訪れを、わたしも待っているのかもしれません。
―岸田奈美/作家
記憶を塞ぎたい女と、記憶のできない男。
名曲「青い影」のメロディが、二人を希望へと繋いでいく。これは魂の再生の映画だ。
音楽は、傷ついた心を助ける最後の砦かもしれない。
記憶に翻弄される二人に「青い影」のメロディが、希望と再生の架け橋として横たわる。
―クミコ(歌手)
誰かの心に無理に踏み込まず、しかし、誰かを思うことで一歩踏み出せる。
痛みとやさしさが溶け合う温かなものが、静かに胸に流れ込んできました。
―クリス智子(ラジオパーソナリティ)
『あの歌を憶えている』

監督・脚本:ミシェル・フランコ
出演:ジェシカ・チャステイン、ピーター・サースガード、メリット・ウェヴァー、ブルック・ティンバー、エルシー・フィッシャー、ジェシカ・ハーパー
2023年/103 分/アメリカ・メキシコ/英語/シネマスコープ/5.1ch /原題:MEMORY/日本語字幕:大西公子
配給:セテラ・インターナショナル
© DONDE QUEMA EL SOL S.A.P.I. DE C.V. 2023
STORY:世間を恐れていたふたりの心の殻は、ゆっくりと溶けていくー
ソーシャルワーカーとして働き、13歳の娘とNYで暮らすシルヴィア。若年性認知症による記憶障害を抱えるソール。それまで接点もなかったそんなふたりが、高校の同窓会で出会う。家族に頼まれ、ソールの面倒を見るようになるシルヴィアだったが、穏やかで優しい人柄と、抗えない運命を与えられた哀しみに触れる中で、彼に惹かれていく。だが、彼女もまた過去の傷を秘めていた─。