2025年春、東京・新宿に新たな大型ギャラリースペース「nudge field」がオープンする。
「nudge field」は、東京・渋谷の松濤文化村ストリートから移転するbiscuit galleryと新ギャラリーAWASE galleryが共同で運営するギャラリーコンプレックス。新宿駅徒歩3分の好立地に構える老舗ビルの1フロアをリニューアルし、全体で約50坪の広さとなる3つの展示フロアで構成される。設計は、AWASE galleryの松井陸と建築家の関健太、中村幸介が行った。

biscuit galleryは、2021年3月の開業以来、新進気鋭の若手アーティストを中心にこれまで200名以上の作家を取り扱い、国内外で広く支持を集めてきた。創設5年目を迎える2025年、さらなるグローバル展開とギャラリーミッション遂行のため、スペースの移転を決定。移転を機に厚地由佳子を新たなディレクターとして迎え、より充実した展示環境と活動基盤の整備を推進する。
今回の移転については、創業当時からの環境変化、「Global Action」をテーマに掲げて海外に積極展開してきたなかでの状況変化など、私たちのこれまでの活動をさらに推進させるために決めました。これまでの経験を生かし、さらに飛躍する機会となります。第2創業期と捉え、AWASE galleryとの連携やグローバルな展開に向け、新たな体制で運営して参ります。
小林真比古(biscuit gallery代表)コメント
AWASE galleryは、建築家の松井陸とアーティストの山田康平の2名によって運営される新たなギャラリーで、「nudge field」を拠点に活動する。年間の企画は山田が監修し、美術家の個展やグループ展など美術を軸にしながら、松井が建築的な視点や多様な分野の考え方を取り入れたプログラムを展開していき、様々なメディアカルチャーが交わることで新しい価値が生まれる場を目指す。
biscuit galleryとのご縁は、こけら落としのグループ展にお誘いいただいたことが始まりでした。その後も個展を含めた多くの機会をいただき、深い関係性を築くことができました。今回、新宿のスペースに3つの区画がある中で、ひとつは私自身が信頼し、つながりのあるギャラリーに入っていただきたいと考えており、その候補として自然と浮かんだのがbiscuit galleryでした。
山田康平コメント
biscuit galleryは、若手アーティストの展覧会を積極的に行い、今のアートシーンにおいて欠かせない存在だと感じています。また、私が目指している展覧会やプログラムの方向性とも非常に近いものがあります。たとえば、空間を活かした展示方法や、グループ展などのコラボレーションする機会を増やすことで、様々な枠組みを広げていく積極的な取り組みなど、共感できる部分が多く理想的なパートナーだと思っています。この新しいスペースを通じて、さらに多くの可能性を一緒に広げていきたいです。
両ギャラリーの展示室をつなぐ第3の展示室「on」は共有スペースとして運営され、美術家の展覧会を中心に、建築家の発表や子ども向けワークショップ、地域や企業との共同プロジェクト、アーティスト支援プログラムなど、多様な活動の場となる。
biscuit galleryとAWASE galleryは、それぞれが独自の展覧会を行う一方で、共同のプログラムを運営していく。第1弾のオープン記念企画として、6月に大阪で開催されるアートフェア『ART OSAKA』に共同出展し、biscuit gallery所属の那須佐和子(画家)とAWASE gallery推薦の下田悠太(建築構造エンジニア)によるインスタレーションを展示する予定。また、第2弾として、biscuit galleryの公募プログラム「grid next: 2025 – Emerging Artists Showcase」にAWASE galleryが協力する形でアーティストの募集を行う。biscuit galleryが過去2回開催した「biscuit gallery Curator Projects」を発展させた新たなキュレーター支援プロジェクトも共同で募集を行う予定となっている。その他、海外との連携企画、相互の展示室を使った共同企画なども計画されている。
厚地由佳子コメント
約4年お世話になった渋谷から新宿へ移動。それだけでも新たな楽しみがありますが、AWASE galleryとフロアを共有することで、展示企画以外でも新展開を見せていき、お客様と共に魅力的な空間を創っていきたいと思います。是非ご期待ください。
山田康平コメント
今回の試みは、作品制作を続ける中で自然と浮かび上がってきたものです。最初は『風景』について考え、その中で自然、都市、そして都市を構成する建築へと関心が広がっていきました。そうしたプロセスを経る中で、自分の空間を持ちたいという欲望が生まれ、それが多くの人と出会うきっかけにもなりました。
『画家』という言葉に含まれる『画』は『区画』の『画』でもあります。画家の仕事は、常に現代の枠組みを捉え直し、新たな区画や視点を生み出すことだと思います。この新たな試みも、そうした『画』を更新し、多くの人々と共有する場を生み出すための一歩だと考えています。
松井陸コメント
アートだけではなく建築家やデザイナーの展覧会も行い、時にはアーティストと建築家が共同で作品を作ります。様々な挑戦を行う場として両ギャラリーの共有スペースを設けている事も特徴の1つです。 このスペースは数年後に建て替えを行う予定のビルに、建て替え後も引き継ぐ拠点を創造するプロジェクトだとも考えています。ここでの展覧会を含めた様々な活動の集積が、その後の建物の在り方となる事を期待します。