東京、台北、ソウル、北京の4都市を結ぶジェネラティブアートの展覧会『dialog()』が8月9日(金)から12日(月・祝)まで東京・渋谷のspace EDGEで開催される。
各地域より総勢40組のアーティストによる作品が一堂に会し、アルゴリズムがもたらす表現の可能性を探求する同展。東京での展示を皮切りに、台北、ソウル、北京を巡回する予定となっている。
東京会場では、限定展示として、東洋思想による現代美術のルール書き換えとデジタルデータの新たな価値追求をテーマに制作するアーティスト・たかくらかずきの作品を紹介する他、渋谷Grill Dining & Music Bar STEREOにてBright Momentsによるドキュメンタリー上映会とミートアップイベント、代官山SALOONにて電音研によるライブパフォーマンスが行われるクロージングイベントなど、多彩な特別企画が実施される。また、ゲストを招いてのトークセッションやワークショップなどのオフィシャルプログラムの開催も予定している。

開催に際し、ステートメントと東京展示オーガナイザーのメディアアーティスト・NIINOMIからのコメントも発表された。
1960年代に始まったコンピュータアルゴリズムによって生成されるアートは、やがてジェネラティブアートと呼ばれるようになり、2021年のNFTの隆盛において一つの象徴的なシーンを形成しました。「ジェネラティブ」は「生成的」を意味し、コンピュータアルゴリズムによって人の手を介さずとも作品が生まれる点に特徴があります。そこには大きな可能性があるはずですが、NFTや生成AIの登場の影響により、時にパターンを量産する手法として用いることや、生成される瞬間を関心のピークとした刹那的な楽しみ方のみが注目されるような傾向もみられます。さらに、近年のジェネラティブアート作品の多くは、JavaScriptで書かれ、webブラウザ上で動作する平面作品として、オンラインのプラットフォームを介してリリースされています。
ジェネラティブアートの根幹がコンピュータアルゴリズムにあるのであれば、その可能性はwebにおいてのみ展開されるものではなく、多様なものであるはずです。現代アートは西洋によってルール形成されたある種のゲームであるかのように語られることがあります。同様にジェネラティブアートにおいても西洋を中心として発展してきたテクノロジーの進化の中で、アーティストは既存の道具を使い、用意された環境の枠の中で創造することを無意識的に選択してはいないでしょうか?
本展覧会は、ジェネラティブアートの独自性を再考し、その可能性を広げるための取り組みです。そのために、アジアに住む私たちがそれぞれの独自の文化を見つめ直しながら、私たち自身の解釈でジェネラティブアートのかたちを提示することを目指します。
また、本展覧会は、アジア諸国の文化をより深く知るための機会でもあります。例えば日本ではゲーム、オーディオビジュアル、映像、VR空間などにおいてユニークな文化が息づいていることがわかりますが、隣国のアジア諸国との類似点や差異については意外と知らないことにも気付かされます。他国とのコミュニケーションを重ねていくことで、言語の壁に悩まされ、文化的背景の理解の欠如も自覚することになります。アジアから世界に発信する本展覧会は、アートを介して互いの文化を知ろうとすること自体にも大きな意義があるといえるでしょう。
このような背景のもと、「dialog()」と名付けられた本展覧会は、アートを軸に対話を繰り返すことで、言語の壁や文化的背景の違いを超え、互いをより深く理解する機会としたいと考えます。展覧会では、各都市より総勢40名のアーティストによる作品が一堂に会し、同一のキュレーションで4都市を巡ります。互いの差異や独自性を探求するこの取り組みの結果として、アジア文化の特色が反映されたジェネラティブアートのかたちを世界に提示することができれば幸いです。
まずはdialog()を実行することから始めましょう。
ステートメント
本展覧会は、もともと西洋の影響が強いアートシーンにおいて、アジアの特色を際立たせることを目的に企画されました。しかし、各都市のメンバーとのコミュニケーションを重ねる中で、互いの文化についての認識が意外に浅いことや、異なる言語で深い意思疎通を図ることの難しさを痛感し、こうした対話の重要性を改めて実感しました。SNSを通じて世界中のアーティストやコミュニティと繋がることができる時代ですが、より深い相互理解には対話を重ね、共に何かを創り上げる機会が必要だと感じています。多くの方々の協力を得て、アジアの4都市でこの展覧会を共同開催できることを大変嬉しく思います。本展覧会を通じて、アートを媒介とした対話が新たな文化交流の形となり、より豊かな相互理解と未来を築く一助となることを心より願っております。
NIINOMI(メディアアーティスト / NEORT株式会社 取締役)
『dialog() – Asian Generative Art Exhibition 2024』

期間 :2024年8月9日(金)~2024年8月12日(月・祝)
※会期中無休
会場:space EDGE
住所:東京都渋谷区渋谷3-26-17 野村ビル1階
アクセス:JR渋谷駅ハチ公口より徒歩5分
開場時間 :11:00 – 20:00
アーティスト:
【Tokyo 東京】Misaki Nakano / Ayumu Nagamatsu / Saeko Ehara / Karyn Nakamura / Shunsuke Takawo / Kaoru Tanaka / px_periment / Kenichi Yoneda (kynd) / Okazz / Kitasenju Design
【Taipei 臺北】Natalie.J / Yi-Wen LIN / Newyellow / Che-Yu Wu / Alvis Lee / Jinyao Lin / PING SHENG WU / Chih-Yu Chen / Aluan Wang / eziraros
【Seoul 서울】Nsyme / Yehwan Song / Choi Gunhyuk / Kohui / Kyuha Shim / SEOHYO / Yang, Minha / Sey Min / Youngkak Cho / oOps.50656
【Beijing 北京】Ellwood Chen / MOses li / Licia He / Samuel YAN / Arctic / DaDa (Qiuyan Da) / Random Combo / Reva Fan / Hexu Wang / Lucio+Damiao
入場料 :
一般/1,200円(早割 1,000円)
大学生/600円(早割 500円)
高校生以下/無料
*本展の入場チケットは、会期中何度でも再入場が可能な通し券となります。
チケット販売サイト :
Peatix:https://dialog-tokyo.peatix.com/
luma(English):lu.ma/u6owxfc5
販売開始 :2024年7月4日(木)
公式ウェブサイト :
公式X :x.com/dialog_asia
公式Instagram:www.instagram.com/dialog.asia/
Bright Moments ドキュメンタリー上映会&ミートアップ

世界的に注目を集めるデジタルアートコミュニティ、Bright Momentsによる特別上映会とミートアップを共同開催いたします。
「Venice to Venice: a Bright Moments Documentary」の上映を通じて、L.A. ベニスビーチから世界各地へと広がった彼らの軌跡を紹介します。この上映会では、Bright Momentsの歩みを振り返るとともに、今後のデジタルアート・シーンの未来と可能性について対話するひとときをお楽しみください。
www.brightmoments.io/home
日時: 8月11日(日) 18:00 – 22:00
場所:Grill Dining & Music Bar STEREO(渋谷サクラステージ38F)
東京都渋谷区桜丘町1−1 SHIBUYA TOWER
クロージングイベント
電音研によるライブパフォーマンスが「dialog()」 東京会場展示の締めくくりを飾ります。
電子音楽研究会(通称:電音研)は、音楽、映像、建築、グラフィックデザインなど多角的な視点から電子音楽とそのカルチャーを探究するプラットフォームです。
日時 :8月12日(月・祝)18:00 – 24:00
場所 :代官山SALOON
入場料:1,500円(dialog()の展示チケットをお持ちの方は1,000円)※入場時別途ドリンク代
「dialog() – Asian Generative Art Exhibition 2024」巡回展示スケジュール
Taipei 臺北
期間: 2024年10月11日(金) – 10月20日 (日)
会場: C-LAB Art Space IV 1F and East Lawn
Seoul 서울
期間: 2024年11月8日(金)- 11月30日(土)
会場: Uncommon Gallery & S-LIVE
Beijing 北京
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