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君島大空『音のする部屋』全曲解説——J-POPの共感性、歌詞表現への苛立ちとともに語る

2025.6.2

#MUSIC

3. “Death Metal Cheese Cake”——溢れ出した「ただ友達を笑わせたい気持ち」

―“Death Metal Cheese Cake”はどうでしょうか。

君島:『no public sounds』を作り終わったぐらいにPCが死んじゃって。PCを買い換えて、めっちゃ快適〜って1日で作った曲です。

―これまで1曲に数年かけることも当たり前だったことから考えると、作り方も曲が成立するプロセスもだいぶ今作は異なりますね。

君島:そうですね。これは変な曲作ろうと思って作っていたら、「『ロマンシング サ・ガ』みたいだね」って(西田)修大に言われて、ゲーム音楽っぽいし、いいやんって(笑)。この曲の歌詞は、ただ友達を笑わせたい気持ちが溢れ出した状態です。

―そういう動機の曲自体、今までないですよね。

君島:ないない。今までやってない好きなことをやるのが決めごとだったので。

―タイトルはどうでしょうか。君島さんは、その曲の真意をタイトルで表すことも多いですが。

君島:ああ、これはないですね。“Death Metal Cheese Cake”って何だろうって聴いてみたら、「え、何?」ってなったまま終わる(笑)。こういう曲でしかできないことってやっぱりあるんですよね。

―『映帶する煙』(2023年)みたいに、1曲にこれまでの自分をすべて注ぎ込むのではなくて、違う発想、切り口で曲を作ってみるという。きっとそのこと自体に意味がありますよね。

君島:そうですね。これは僕がメタルやるとこうなりますって曲。メタルといっても完全にサブジャンル的なものですけど、このベチベチしたドラムの音とかパターンってJ-POPでは絶対にないので。そこが大きいのかなと。こういう曲を聴くときも作るときも、確実にドラムが軸になっています。

―ギターではないんですね。

君島:うん。これはいわゆるDjentのドラムパターンを打ち込んでPC上で鳴らし続けて、その上にピッチのズレたキーボードを入れて、ブレイクダウンだけ急にメタリックにしてっていう作り方でした。

自分の中ではメタルの要素はあるけど、ぱっと聴いて「これはメタルではない」って言われるのはわかるし、それが面白いなと思います(笑)。全然デスメタルじゃないし、いわゆるメタルじゃないのはわかってやっているので。また違う角度でこういう曲は作りたいです。

―「デスメタルじゃないじゃん」って笑えるところに君島さんの人柄を感じます。

君島:俺なりのギャグです(笑)。

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