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イラストレーション界のヘタウマブームの渦中でデビュー
Celeina:スージーさんのキャリアを振り返っていきたいんですけれども、多摩美術大学のグラフィックデザイン専攻を卒業されているということで、ご卒業後はどんな活動をされていたんですか?
スージー:学生時代からデザインのバイトをやっていまして、卒業後はそのままデザインの道に進みました。だからちゃんと就職はしてないんですよ。
タカノ:デザインのバイトとはどんなものでしょう?
スージー:難しいんですけど、僕がやっていたのは雑誌のレイアウトの仕事が中心です。あとちょっと遊びっぽいものだと、レコードジャケットのデザインの仕事を取ってくる知り合いがいて、そういうのを手伝ったりもしていました。
Celeina:なるほど。いわゆる下積み時代と言いますか。
スージー:そうですね、20代だったんで。
Celeina:そして、ヘタウマブームというムーブメントがあって、その渦中でデビューされたとのことですが、このヘタウマブームというのは改めてどんなムーブメントだったんですか?
スージー:ヘタウマブームまでは、この業界でも絵が上手い人が天下だったんですよ。それを打ち破った筆頭だったのが湯村輝彦(別名義:テリー・ジョンスン)さんです。「下手でもいいんじゃないか」と言うようになって、描き手だけじゃなく、エディターやデザイナーの方の間でもちょっとヘタウマ面白いなと、結構話題になりましたね。
タカノ:僕は、「ヘタウマ」という言葉にちょっとモヤっとしていて。結局上手いんじゃないかなと思うんですよ。下手なように見せているというか。
スージー:一応簡単に言うと、下手なんだけど上手いみたいなことですね。だから細かく言うと、下手に見せているわけでもないんです。絵は下手なんだけど、感覚がいいみたいなイメージでしょうか。だから外国の方は、最初はちょっとわかりづらかったみたいです
タカノ:そこはやっぱり違いがあるんですね。
スージー:海外だとYES or NOしかないじゃないですか。でも日本人の人はその中間があるというか、幅があるんですよね。なので、面白がってくれる人が沢山いたんだと思います。だから最初の頃はよくわからないと言われることも多かったんですけど、中には「ヘタウマ」を面白がる外国の方もいて、湯村さんも外国の方から結構人気があるんですよ。
タカノ:そこら辺の感覚の違いってすごく面白いですね。例えば「かわいい」という概念は日本人独自のものだと言われたりしますし。「ヘタウマ」と呼ばれているものを面白がったりとか、いいなと思えたりする感性が独自のものだっていう。
スージー:価値観は人それぞれ違うみたいなことですよね。
タカノ:すごく興味深いお話です。
スージー:言葉にした方がわかりやすいので、下手なんだけど上手い絵を描こうとした時に、「ヘタウマ」という言葉を無理やり作っちゃったんだと思います。