INDEX
映画同様に不作を感じたテレビシリーズ
―テレビシリーズについてはいかがでしたか?
長内:正直、下半期はテレビシリーズも不作だったという印象です。ストライキ明けの作品が出てきた時期だからか、脚本の練り込み不足が目立ち、見ていてしんどいものが多かった。よかったのは、『TASK / タスク』と『チェア・カンパニー』くらいです。
木津:それは、ヴィンス・ギリガンの新作『プルリブス』をあまり評価していない、ということでしょうか?
長内:保留中ですね。SFというジャンルが、20世紀でもう完成されてしまったのではないかという思いがあって。あまり目新しさを感じてないんです。
―SFが20世紀で完成されてしまったとはどういう意味ですか?
長内:『DUNE/デューン』シリーズや『ファウンデーション』シリーズ、『エイリアン:アース』など、ハリウッド製の人気SFも原作を辿れば半世紀以上前の作品ばかり。『プルリブス』と全く同じアイデアの作品が他にあるとは言わないけど、僕はそれほど奇想に感じなかった。ネット上で展開される視聴者の考察や批評が劇中さながら並列化されている現象もあまり面白くなかった。
木津:僕は『プルリブス』、楽しく見ています。ヴィンス・ギリガンが『Xファイル』時代に培ったキャッチーなSF要素で盛りあげつつ、『ベター・コール・ソール』以降の洗練されたストーリーテリングで見せている。AIとの付き合い方という現代的なテーマを、難しい方向に行かず、ある種通俗的なものとして勝負しているのがいいですね。
長内:登場人物が少なすぎて、もう少し人間ドラマの厚みが欲しいなと期待しているところです。人間ドラマの濃さでいえば、やはり『TASK / タスク』。ただ、あまりに意図的にヘビーに作られすぎている感もありました。
木津:役者の芝居は素晴らしかったですね。ただ、年間ベストで言えば、『ザ・スタジオ』や『リハーサル』のようなエッジの効いたコメディーの方を自分は選びます。
長内:『チェア・カンパニー』も最終回がシュールすぎて爆笑しました。最終回を監督したのは、『顔を捨てた男』のアーロン・シンバーグなんですよね。ここにA24的な親和性と繋がっていて面白い。