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共同体や共生をほっこりと描いた『探偵さん、リュック開いてますよ』
—では続いて、こちらは藤原さんがベスト2に挙げた『探偵さん、リュック開いてますよ』についてお願いします。
藤原:温泉のお湯が喋るようなヘンテコなドラマなんですけど、お湯が喋りたいと言ったら、そのまま喋る仕事をしてもらうとか、タイムスリップしてきた武士が現代に居たいと言ったら、居ても良いよとか、あらゆる存在を受け入れてしまうのがすごかったですね。前半は温泉街の中の話でしたが、後半はどんどん外に出ていって、ついには海外に出ていく登場人物までいて。中に居ても良いし、外に出ても良い。温泉街を舞台にしたドラマだから、温泉というものの器の大きさを象徴的に表しているのかなと思いました。あと、ドラマの終盤にようやく出てきた主人公の母親役の原田美枝子さんがとても素敵だなと。
明日菜子:面白いなあ、でも、何が面白いか分からないなあと思いながらなんとなく見ていたんですが、最終回でズラッと登場人物たちが揃った時に、不思議な探偵(松田龍平)を中心に、過去から来た武士(三河悠冴)がいて、元FBIの外国人(村雨辰剛)もいて、田舎暮らし系動画配信者(片山友希)もいて……と、共同体や共生についての話だったのかと気づいたんですよね。無理にテーマを見出すのも違うかもしれないですけど、排外主義的な考えが目立つ時代だからこそ、より一層、作品の器のデカさといいますか、何でも受け入れる感じが、より胸にしみた最終回でした。
北村:私もほっこり癒される感じが好きで、楽しく見ていました。舞台となった西ヶ谷温泉には人が自然と集まって来るんですが、主人公・洋輔(松田龍平)と同級生のとしのり(大倉孝二)と圭(水澤紳吾)とのおじさん3人組の掛け合いがすごく好きでしたね。やはり、世代とか性別とか出自も問わず、居たかったら居ても良いというメッセージが作品の根底にあるのかなと思います。企画を手掛けた沖田修一監督と松田龍平さんはこういうことをやりたかったのだなと、しみじみしました。