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『未来のムスコ』レビュー 夢と生活の折り合いの難しさを描くファンタジー親子ドラマ

2026.2.24

#MOVIE

©TBSスパークル / TBS 
©TBSスパークル / TBS 

志田未来が『14才の母~愛するために 生まれてきた~』以来、約20年の時を経て「母」を演じたことで話題の火曜ドラマ『未来のムスコ』(TBS系)。

昨年も『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』『じゃあ、あんたが作ってみろよ』など社会性がありながらエンタメ性も持つ傑作ドラマを生み続けてきた「火曜ドラマ」の最新作は、崖っぷちのアラサー女性のもとに「未来の息子」が現れる、時を超えたラブストーリーとなっている。

『マルモのおきて』(フジテレビ系)の脚本も手掛けた阿相クミコと黒麦はぢめによるマンガ『未来のムスコ~恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた!』(集英社)を原作とした本作について、毎クール必ず20本以上は視聴するドラマウォッチャー・明日菜子がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

崖っぷちアラサー女性のもとに未来のムスコが

汐川未来(志田未来)のもと現れた「未来の息子」颯太(天野優)©TBSスパークル / TBS 
汐川未来(志田未来)のもと現れた「未来の息子」颯太(天野優)©TBSスパークル / TBS 

ただ生きているだけでも精一杯な毎日。息を吸うだけでお金がかかると思ってしまう時代である。そんな日常の中で、もしも、ある日突然「未来からやってきた」という5歳の子どもが現れたらどうするか。私のことを「ママ」と呼ぶ「ムスコ」が現れたら、一体全体どうすれば——大変に決まっている。間違いなく大変だ。

……あ。安心してください。これは、この文章を書いている私の話ではなく、あくまでもドラマの中の話。現在放送中の火曜ドラマ『未来のムスコ』(TBS系)は、俳優という夢を追い続けるも、いまだ日の目を見ず、バイト生活をおくる崖っぷちアラサー女性・汐川未来(志田未来)のもとに、2036年から未来の息子だと名乗る5歳の男の子・颯太(天野優)が現れるところから始まる。

主人公を演じるのは、「下積みの長い実力派劇団員」という設定に、文句なしのリアリティを与えている志田未来。かつて『14才の母~愛するために 生まれてきた』(2006年 / 日本テレビ系)で、若くして母にならざるを得なかった難役を真正面から引き受けた彼女が、本作では夢と生活のはざまで踏ん張る令和の等身大女性を演じる。母親役で、さらには主人公が「未来」という役名である本作には、どこか運命的な巡り合わせを感じずにはいられない。

もう一人の主人公ともいえる颯太役には、約200名のオーディションの中から天野優が選ばれた。志田との掛け合いも驚くほど自然で、もはや親子にしか見えない。子どもらしいまっすぐな光を放つ、期待の超超超新星だ。

3人の颯太のパパ「まーくん」候補たち

颯太はママの未来とパパの「まーくん」を仲直りさせるためにやってきた©TBSスパークル / TBS
颯太はママの未来とパパの「まーくん」を仲直りさせるためにやってきた©TBSスパークル / TBS

 2036年からやってきた颯太の目的はただ一つ! 自分のママである未来と、パパの「まーくん」を仲直りさせることだ。そもそも10年間恋人がおらず、できる兆しすら見えない未来が、いったい誰と結婚するのか? 颯太を無事に未来へ帰すため、2人によるまーくん探しが始まるものの、ややこしいことに未来の周りにはまーくん候補が多い。

1人目は、未来が所属する劇団『アルバトロス』の座長・吉沢将生(塩野瑛久)。いまは劇団を支える仲間同士だが、実はこっぴどい別れ方をした未来の元カレである。

演劇仲間で元カレの吉沢将生(塩野瑛久)©TBSスパークル / TBS 
演劇仲間で元カレの吉沢将生(塩野瑛久)©TBSスパークル / TBS 

2人目は、颯太が通う保育園の保育士・松岡優太(小瀧望)。未来の中学時代の同級生で、偶然の再会をきっかけに、育児初心者の未来をさりげなく支える頼もしい存在だ。

保育士で同級生の松岡優太(小瀧望)©TBSスパークル / TBS 
保育士で同級生の松岡優太(小瀧望)©TBSスパークル / TBS 

3人目は、同じ劇団員の矢野真(兵頭功海)。未来は長らく「しん」だと思い込んでいたが、第4話で本名が「まこと」だと判明し、母親から「まーくん」と呼ばれていることも明らかに。第5話では未来に突然の告白をし、一気に本命候補へと浮上している。

劇団員の後輩・矢野真(兵頭功海)©TBSスパークル / TBS 
劇団員の後輩・矢野真(兵頭功海)©TBSスパークル / TBS 

さらにもう一人、劇団の古株で「マスオさん」の愛称で呼ばれる西村太一(吉村界人)もいるけれど、こちらは既婚者なので、さすがに候補からは外れていてほしい。

劇団の古株で「マスオさん」こと西村太一(吉村界人)©TBSスパークル / TBS 
劇団の古株で「マスオさん」こと西村太一(吉村界人)©TBSスパークル / TBS 

ファンタジー設定で描く現実的な日常生活

颯太が身につける未来のスマートウォッチにはどんな機能が©TBSスパークル / TBS
颯太が身につける未来のスマートウォッチにはどんな機能が©TBSスパークル / TBS

つまり本作は、「未来のオット」を探す時を超えたラブストーリーでもあるのだが、身にしみて伝わってくるのは、現代で子どもを育てること、ひいては子どもと生活すること自体の大変さだ。「好き」だけでは乗り越えられない現実が、何度も画面に差し込まれる。とりわけ顕著なのが、未来たちの食事のシーン。

たとえば未来は、特売で買ったプリンを慈しみ、コスパ重視の大容量焼酎ボトルで作るレモンサワーを楽しみにする(しかしレモンが高くて買えない……!)。大食いYouTuberのASMR動画を横目に、豆苗炒めと解凍したご飯で夕食を済ませるシーンには、いまどきの崖っぷちアラサー女性の生活感がそのまま出ていた。ファンタジー設定でありながら、日常生活の質感は驚くほどに現実的だ。

そんな自分の生活もままならないところに、さらに子どもが増える。しかも颯太は、最新型のスマートウォッチとおもちゃのカメラなど、簡易的な荷物を持ってきただけで、保険証など身分を証明するものを一切持っていない。もしかしたら充電切れのスマートウォッチに搭載されているのかもしれないし、2036年時点の保険証を持ってきていても使えないかもしれないが、とにかく、現代で社会保障制度を受けられないことは致命的だ。10割負担の医療費、非認可保育園の高額な利用料。毎回リアルすぎる数字が未来に重くのしかかってくる。

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