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古山菜の花初インタビュー 肯定でも否定でもなく「存在証明」のために歌う

2025.11.19

#MUSIC

「肯定するわけでも、否定するわけでもなく、その人たちのことを知ってほしい」

―YouTubeにアップされている“ラブホテルで働くということ”のピアノ弾き語り動画の概要欄には「日本のアンダーグラウンドな界隈に興味」があったと綴られていますね。アンダーグラウンドな文化に惹かれていったのも、寄り添ってくれるものを探していたからなのでしょうか。

古山:どうなんでしょう。清掃員としてラブホテルで働くようになったきっかけもそうなんですけど、ルポを見るのにハマった時期があったんです。元々、趣味が「ホテル街巡り」なくらい日本の性文化に興味があったんですけど、そこから自分が実際にラブホテルで働き始めると、そういうお店の方がホテルに来るんですよね。中には明らかに私より年下の方だっているし、「その人たちはどんな気持ちでドアをノックしているんだろう?」とか、いろいろと考えてしまって。

古山:単純に、入口は「興味がある」だったんです。でも知っていくうちに、肯定するわけでも、否定するわけでもなく、その人たちのことを知ってほしい、というか……そういうふうに思ってしまったんですよね。

―“ラブホテルで働くということ”はまさに、そういうふうに生まれた曲なんですね。

古山:そうです。私はいろいろとバイトをしてきて、前の職場では心身ともに病んでしまったりもしたんですけど、それでもお金がないからダブルワークをしようということで、ラブホテルで働き始めたんです。職場の人たちは、最初こそ不愛想でしたけど、すごく温かくて。働いている人たちの人間性に感動したんです。その感動がモロに出ている曲だと思います。素晴らしい出会いだなと思いました。

―菜の花さんにとって歌や表現というものは、この世界に確かにあって、でも、多くの人には見えていなかったり、見ようとしていなかったりするものを、「でも、それは確かに存在しているんだ」と伝えていくためものでもあるんですかね。

古山:どうなんでしょう、“ラブホテルで働くということ”に関しては、気づいたら書いていたんですよね。いつもnoteに勤務日記みたいなものを書いているんですけど、それも、業務中は深夜が暇になっちゃうので、メモ程度に書き始めたものだったんです。それを書いていたら、感情が溢れてきてしまったことがあって。「なんとか、ここで働いている人たちのことを知ってもらえないかな?」って。

歌詞にも綴っていますけど、お客さんと揉めたときに「底辺が~」とか「馬鹿だからそういう仕事にしか就けないんだ」とか、そういうことを言う人もいっぱいいるんです。周りの人に「清掃員なんて」と言われたこともあるし。でも、実際に私の周りで働いている人の中には、ろくでもない人なんていない。ただ、それを知ってほしかったんです。

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