4月24日(金)より全国公開されるケン・ローチ監督の最新映画『オールド・オーク』から、新たな場面写真と著名人からのコメントが公開された。
同作は、かつて炭鉱で栄えたイギリス北東部の町を舞台に、唯一の拠り所となるパブ「オールド・オーク」を中心に描かれる物語。シリア難民の受け入れをきっかけに町に緊張が広がる中、店主TJは奮闘するが、シリア人女性ヤラとの出会いが思いがけない変化をもたらしていく。分断が深まる社会の中で、人々の連帯の可能性を描いている。ケン・ローチ監督自身が「最後の作品」と語っていることでも注目を集めている。
作品に寄せてケン・ローチ監督は、実際にシリア難民がとある北東部の町に到着した際の出来事に着想を得たと語ったうえで、「まずは双方を理解する必要がありました。二つのコミュニティが隣り合って暮らす現実がある。それぞれに深刻な問題を抱えつつも、一方には想像を絶する残酷な戦争から逃れてきたというトラウマがあり、失った者への悲嘆と、残された者への心配に苛まれている。異国の地で見知らぬ者同士となった彼らは、果たして共存できるのかー?相反する反応が生まれるでしょう。このような暗黒の時代に、希望はどこにあるのか?難しい問いですが、ポール・ラヴァティ(脚本家)とレベッカ・オブライエン(プロデューサー)と私は、その答えを探すべきだと考えました。」と述べている。
今回コメントを寄せたのは、映画監督の是枝裕和、RHYMESTERの宇多丸、音楽プロデューサーで作家の松尾潔、英文学者の北村紗衣の4名。
世界でも、日本でも至る所に蔓延している人と人の「分断」。この最も厄介な手に負えない病巣を前にしてもケン・ローチは諦めない。『オールド・オーク』は人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるかを正面から問い続ける。これほどまでに一貫した「眼差し」を世界に、人間に向け続ける彼の存在こそが、映画にとっての希望であると改めて確信した。
是枝裕和 (映画監督)
押しつけられた理不尽に苦しむ者同士、噛みつき合うのか、助け合うのか、それとも黙ってやり過ごすのか……それは明らかに、2026年現在の日本社会に生きる、我々自身にも向けられた問いだろう。ケン・ローチ渾身のまたしても大傑作、劇場公開されて、本当に良かった!
宇多丸(RHYMESTER)
ローチが見つめるのは、難民そのものではない。「分断を生む社会の構造」だ。怒りと不信の底に、なお残る連帯の可能性を探る。2016年の英国北東部を描いたこの物語が、2026年の日本に重なって見えるとき、私たちは何を選び取るのか。
松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
パブはpublic house、つまり「公共の家」という単語からきています。お酒を飲むだけではなく、人々が集まるコミュニティの中心としての公共的な機能を持っています。そんなパブが地域社会のためにどういう機能を果たせるのか、果たすべきなのかを描いた映画です。
北村紗衣(英文学者
映画『オールド・オーク』
原題:The Old Oak
公開日:2026年4月24日(金)
会場:ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソン
2023/イギリス、フランス、ベルギー/英語・アラビア語/113分/カラー 原題:The Old Oak 配給:ファインフィルムズ 映倫:G
文部科学省特別選定(高等学校生徒、青年、成人向き) 文部科学省選定(中学校生徒、家庭向き)東京都推奨映画 後援:ブリティッシュ・カウンシル
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
〈ストーリー〉
イギリス北東部、とある炭鉱の町で唯一のパブ、「オールド・オーク」。活気溢れる時代から30年の時を経て、今は厳しい状況に陥っているが、町に住む人々にとっては最後の砦となる止まり木のような存在だ。店主のTJ・バランタインは、試行錯誤しながらなんとかパブを維持しているが、町がシリア難民を受け入れ始めたことで、パブは居場所を争う諍いの場になってしまう。先行きを危ぶむTJだったが、カメラを持ったシリアの女性ヤラと出会い、思いがけない友情を育むことになる。果たして彼らは、互いを理解する方法を見つけられるのだろうかー?