アイルランドのケルト神話の「土着の祈り」と「呪い」を独自の現代的解釈によって描いたフォークホラー『FRÉWAKA/フレワカ』が2月6日より公開中。
ホラーアンソロジードラマ『Bite Size Halloween』(2020年)のシーズン1の16話「Eye Exam」でも監督を務めたことでも注目を集めた、新進気鋭のホラー映画作家アシュリン・クラークの長編2作目となる今作。
介護の仕事で人里離れた村を訪れた看護師シューの視点から、現実と幻覚・幻聴の境界線が、わからなくなるほどのメンタル的恐怖と、怪しさ満点の村人たちの行動や視線など、地方ならではの疎外感と緊張感が忍び寄ってくる恐怖を描き出している。
タイトルの『フレワカ』というのは、「根っこ」という意味であり、地面(下の世界)から常に見張られているようで、外にいても室内にいても逃げ場がないシューの心理状態ともリンクしてくる。
『ユー・アー・ノット・マイ・マザー』(2021年)、『ダブル・ブラインド 命の報酬』(2023年)などのアイルランドホラーでは、お馴染みのナラヤン・ファン・マエレが撮影監督を務めたことで、若干、ステレオタイプな部分はあるものの、それが逆に、真正面から恐怖を煽るカメラワークとして印象的に機能していた。

そのなかで、ケルト神話やアイルランド民話において、自然崇拝の象徴や魔力を持つ動物として特別視され、これまでにも『LAMB/ラム』(2021年)、『ミッドサマー』(2019年)といった北欧ホラーのなかでも独特の存在感を放っていたヤギを、どこか特別な存在として映し、怪しく光るマリア像や真っ赤な十字架といった、細かい描写でケルト系キリスト教の神秘性を感じさせる。
アイルランドにルーツのあるアシュリンは、アイルランドに伝わる歴史や民話を新たな視点から描くことに長けており、それは長編デビュー作の『The Devil’s Doorway』(2018年・日本未公開)でも感じとることができ、作家性として定着しつつある。前作と比べると全体的にジャンプスケアは控えめではあるが、時間をかけて忍び寄る「ヤツら」によって、内部から襲われていく、精神崩壊の疑似体験ムービーともいえるだろう。
『FRÉWAKA/フレワカ』

監督・脚本:アシュリン・クラーク
キャスト:クレア・モネリー、ブリッド・ニー・ニーチテイン(『イニシェリン島の精霊』)
2024 年/アイルランド/103 分/カラー/スコープ/5.1ch
日本語字幕:高橋 彩
配給:ショウゲート
© Fréwaka Films & Screen Market Research T/A Wildcard 2024. All rights reserved.
公式サイト:frewaka.jp
公式 X&TikTok: @showgate_horror
2026 年2月 6 日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
【ストーリー】
婚礼の夜、花嫁は忽然と姿を消した……。その半世紀後、アイルランドの人里離れた村に住む老婆の介護のため訪れた看護師のシューは、閉ざされた村に漂う“何か”の気配を感じ始める。「ヤツらに気をつけなさい」と怯える老婆、どこからともなく聞こえてくる歌声、蹄鉄に囲まれた赤い扉、藁の被り物をした人々と謎の祝祭、そして掘り起こされていくこの地に伝わる古い記憶。徐々にシューは見えない“恐怖”に吞み込まれていく……。