インド国内で2023年に公開され、ヒンディー語映画として初日興行収入1位を記録。その上、世界興収150億超の大ヒットとなった映画『ANIMAL』が、2月13日(金)より日本で公開された。
昨年2025年は、『マルコ』『HIT: The Third Case』など、ゴア描写が際立つ作品が多く登場し、「インドバイオレンス」の歴史が大きく動いた年として印象的だが、同作はそれよりも以前に「インドで最も暴力的な映画」と評されていた作品。
アヌラーグ・カシャップ監督のバイオレンスDNAを確実に受け継いだ、南インドの映画監督、サンディープ・レッディ・ヴァンガが『Kabir Singh』(2019年)に続きヒンディー語映画に挑戦。
父からの愛を受けずに育った主人公の男・ランヴィジャイの病的ともいえる父親愛を描いたこの作品だが、「インドで最も暴力的な映画」と言われているほどのゴア描写はなく、基本的にはドラマ重視。と、油断しているところに主人公のサイコパスが発揮される構造となっている。
クセの強い主人公は、サンディープ監督の作品たらしめる特徴的と言うことができるだろう。デビュー作のテルグ語映画『Arjun Reddy』(2017年)においても、屈折した愛を貫こうとする男が主人公であったように、『ANIMAL』においても、かなり特殊な方法で「愛」が描かれている。
賛否両論といわれる要因はそこにあって、今作も「有害な男らしさを助長している」という意見が飛び交った。だが、むしろその逆で、身勝手で人間的に問題だらけの主人公には誰も共感しない。
愛を手にできない哀しき男として描かれ、唯一寄り添おうとしてくれた妻のギタンジャリとも距離ができてしまう。つまり、人間的に崩壊していて、むしろ野生動物のように、本能のままに行動する男なのだ。助長しているどころか、アンチテーゼとして機能している。
先日、グランドシネマサンシャイン 池袋で行われたジャパンプレミアでは、リモート中継によるサンディープ監督と主演のランビール・カプールの登壇も実現した。
サンディープ監督が「作中で流したい曲があって、それを元にバトルシーンが構成した」と言っていた、斧で相手を次々と粉砕し、100%インド製ガトリングマシンにより無双するシーンは圧巻。
ほかにも、ランヴィジャイの報われない哀しき父親愛を表現した“Papa Meri Jaan”など、印象的な音楽が詰まったアルバムはリリース当時Spotifyにおいて、5億回の再生数を突破したアルバムとして史上最速の記録となった。
映画 ANIMAL
■INFORMATION
『ANIMAL』
出演:ランビール・カプール、アニル・カプール、ラシュミカー・マンダンナ、ボビー・デーオール、トリプティ・ディムリほか
監督:サンディープ・レッディ・ヴァンガ
脚本:サンディープ・レッディ・ヴァンガ、プラナイ・レッディ・ヴァンガ、スレッシュ・バンダル
2023 年 / インド / ヒンディー語・パンジャーブ語・英語 /
201 分 / シネマスコープ / カラー / 5.1ch
原題:ANIMAL / 日本語字幕: 藤井美佳 / 配給:ギークピクチュアズ
© SUPER CASSETTES INDUSTRIES PRIVATE LIMITED & BHADRAKALI PICTURES PRODUCTION 2023
HP : http://animal-movie.jp/
2 月 13 日(金)グランドシネマサンシャイン 池袋、新宿ピカデリー他全国順次公開
【ストーリー】
デリーの鉄鋼王バルビールの長男として生を受けたランヴィジャイ。仕事一筋で家庭を顧みない父親からの愛に飢えて育った彼は、バルビールの 60 歳の誕生日パーティーに参加するが、義兄と諍いを起こし、バルビールに拒絶されてしまう。哀しみに打ちひしがれたランヴィジャイは、幼馴染のギタンジャリと駆け落ち同然で結婚し、アメリカへ旅立つ。8 年後、バルビールが何者かに襲撃されたと報せを受けたランヴィジャイは、デリーに舞い戻る。復讐を誓ったランヴィジャイは、ならず者を集め、敵対者を追い詰めていくが、その行為はエスカレート。さらに宿敵の存在が明らかになり、ランヴィジャイは逃れられない復讐の道へと突き進んでいく……。