ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)による小説『薔薇の名前[完全版]』が、12月25日(木)頃に刊行される。
1980年にイタリアで『Il Nome della Rosa』として刊行された小説を原作とする同作。老修道士アドソが見習修道士時代のある7日間の出来事を回顧しながら綴った手記のフランス語訳をエーコが手に入れたことから物語が展開し、中世北イタリアの修道院で起きた修道士連続怪死事件が聖務日課の時系列に従って語られていく内容となっている。
記号学者 / 哲学者 / 文芸評論家 / 中世文化研究者の作者がその知をあますところなく注ぎ込んだ作品は全世界で累計5000万部を突破。日本では『このミステリーがすごい!』30周年企画「キング・オブ・キングス」海外編第1位を獲得するなど、長年にわたって様々な栄誉や反響を受け続けている。
今回の完全版では、登場人物のイメージスケッチ、中世の生活関連のスケッチ、事件の秘密を握る施設である文書館の図面などを収録。また、1990年の翻訳版刊行直後に別巻として刊行された『「バラの名前」覚書』も収められている。さらに、本文に加えられた訂正の修正、ラテン語関連部分の見直し、並びに本文の訳稿訂正も行われた。なお、翻訳見直しは河島英昭が行っていたが、2018年の死去に伴い河島思朗が作業を引き継いでいる。
刊行に先だち、初回配本限定の特別仕様が公開。上巻を赤、下巻を青とし、正面タイトルと背の部分にはホログラム箔、正面表紙に描かれる文書館の図版と原著タイトルは黒箔が用いられている。さらに、カバーの中心にはエーコ本人直筆の文書館のイラストが据えられている。デザインは柳川貴代が手がけた。
『薔薇の名前[完全版](ばらのなまえ かんぜんばん)上下』

著者:ウンベルト・エーコ
訳者:河島英昭、河島思朗
叢書:海外文学セレクション
判型:単行本(四六判上製)
ページ数:上巻416ページ、下巻528ページ
価格:上巻3000円、下巻3200円(ともに税別)
ISBN:上巻 978-4-488-01693-7/下巻 978-4-488-01694-4
刊行日:2025年12月25日頃