11月21日(金)に東京・キネマ倶楽部で開催された吉澤嘉代子の『歌う星ツアー』ファイナル公演のオフィシャルレポートが到着した。
夜ドラ『いつか、無重力の宙で』の主題歌“うさぎのひかり”を引っ提げ、全国6か所を巡ったライブハウスツアー。ドラマの主人公となる女性4人組に準え、ギターに弓木英梨乃、ベースに関根史織(Base Ball Bear)、ドラムにYUNAを迎えた4人組ガールズバンド編成での公演となった。
https://yoshizawakayoko.lnk.to/UtauHoshi_tour
また、MCでは、2026年5月1日(金)に大阪・NHK大阪ホール、9日(土)に東京・渋谷のNHKホールでの単独公演の開催を発表。東京のNHKホールでの単独公演はキャリア最大規模の公演となる。
以下、オフィシャルレポート全文となる。
2025年10~11月に行われた6箇所7公演の『歌う星ツアー』が、11月21日(金)東京キネマ倶楽部にてファイナルを迎えた。ドラマ『いつか、無重力の宙で』の主題歌として9月に配信された“うさぎのひかり”と深く結びついた今回のツアー。うさぎの姿で月から地球を見つめるバンドメンバーが描かれたキービジュアルや、惑星のオブジェが吊るされたステージセット、そしてドラマの物語とリンクするような「大人の青春」というテーマも、ツアーと楽曲の関連性を示している。

会場が暗転すると、吉澤嘉代子(Vo,Gt)、弓木英梨乃(Gt)、関根史織(Ba / Base Ball Bear)、YUNA(Dr)が登場。メンバーはうさぎの衣装を纏っており、まるでキービジュアルに描かれたガールズバンドが地球に降り立ったかのようだ。スタンバイした4人は、“うさぎのひかり”のサビをアカペラで歌唱。美しい声が重なり、オーディエンスを幻想的な世界へと引き込む。
そのまま間髪を入れずに“涙の国”へ突入すると、力強いバンドサウンドと浮遊感のある歌のコントラストで観客の心をつかむ。吉澤は「ツアーファイナル、ありがとー! 楽しもうね」と快活に挨拶し、“グミ”、“流星”といったバンド編成で映えるナンバーを連投。金色のエレキギターをかき鳴らしながら、表情や歌のニュアンスで楽曲にダイナミクスをつけていく。


“曇天”では、骨太なベースやしなやかなドラムがグルーヴを牽引。4人はキメの多いアレンジでも絶妙なコンビネーションを見せ、互いの呼吸を確かめるように向かい合って演奏する。その様子から、ファイナルに至るまでの日々が充実していたことが伺えた。

MCで吉澤は「今回は『歌う星ツアー』ということで、星や空にまつわる曲をご用意いたしました」とセットリストの選曲基準を明かし、カラフルなコードワークで魅せる“月曜日戦争”、関根が奏でるチャップマン・スティックの重低音やYUNAの硬質なドラムの音色が妖しさを醸した“ニュー香港”と、歌に「星」が入った楽曲を披露していく。


“ギャルになりたい”では、4人が楽器を置いて横一列に並び、打ち込みのサウンドに合わせてダンスするという遊び心のある演出も。曲の後半では生演奏に切り替わり、ファンキーなアンサンブルでフロアの熱を高める。吉澤はサンプラーを操りながらクラップを煽り、会場に一体感をもたらした。
吉澤のライブで鍵盤を入れない編成はまれだが、シンプルな編成で楽曲を表現するにあたり、要となったのは弓木が手がけたアレンジだ。音源ではホーンやストリングスが入っている楽曲も、見事にバンドサウンドへと昇華。楽曲そのもの、そして吉澤の歌唱表現においても新たな一面を引き出していた。続くカバー曲でも、弓木が大いに腕をふるったという。この曲に関して弓木が「嘉代子ちゃん、めっちゃギター練習したもんね」と振ると、吉澤は「毎日毎日、朝起きてこの曲のフレーズを弾いて、昼も弾いて、夜も弾いて……。今までギター練習から逃げてきたから、そのツケが回ってきた(笑)。でも、弾けると楽しい!」と、ギタリストとしての目覚めを感じさせた。そして「月に代わって、お仕置きよ!」とアニメ『美少女戦士セーラームーン』でお馴染みの台詞を発し、同作のオープニング主題歌“ムーンライト伝説”へ。最後にはポーズを決め、フロアが歓声で沸いた。


演奏はますます熱を増し、ストーリー性の強い楽曲で観客を異世界に誘い込んでいく。“シーラカンス通り”では弓木の鋭いギタープレイが観る者を圧倒。関根とYUNAも髪を振り乱しながら情熱的なパフォーマンスを行い、吉澤はアコースティックギターをかき鳴らしつつ荒々しく歌唱した。さらに、ギターとベースのフィードバックノイズやスクラッチ音が緊張感を高めた“サービスエリア”、温かく神秘的なサウンドで引き込んだ“ルシファー”と続く。“東京絶景”では、オルタナティブロック調のノイジーかつ雄大なサウンドが会場いっぱいに広がった。

ライブが終盤に差し掛かると、吉澤は「全公演、チケットがソールドアウトしました!」と、ファンに感謝を伝える。前日の公演では「こんなにいっぱい歌っているのに、前よりもっと歌うことが好きになってるなと思って」と述べていた通り、デビュー11年目の現在も、歌への想いは日増しに強くなっている。『歌う星ツアー』というタイトルも「自分が歌う星のもとに生まれていたらいいな」という歌への愛からつけられたものだ。この日のMCでも彼女は「子供の頃から短い歌を作って家族の前で披露していたんですけど、それが仕事になって、10年続けられて。今日も本当に楽しくて楽しくてしょうがない」と語り「見つけてくれたみなさんのおかげです。いつも私を照らしてくれてありがとう」と、“ミューズ”を演奏。歌を仕事にするという夢を叶え、今も夢の最中にいる吉澤。今回の“ミューズ”は、同じく夢を追う『いつか、無重力の宙で』の登場人物たちに捧げているようにも聴こえた。
本編ラストは、“うさぎのひかり”をフルコーラスで披露。ステージに青い光が差し込み、フロアのそこかしこに観客が持つグッズのライトが灯り、宇宙空間のような風景が広がる。躍動感のあるドラム、強靭なベース、エモーショナルなギターが生命力あふれるサウンドを生み出し、吉澤は天を仰ぎながら優しく歌を届けた。

アンコールでは、吉澤がサブステージから登場。幼少期は自分の名前を好きになれず、「本当の名前」を探し求めてさまざまな名前を名乗っていたという彼女。「最初に自分につけたのは母の名前でした。お母さんの名前が可愛くて、憧れてて。そういうふうに誰かになりたいという変身願望があったり、どこか遠い世界をずっと夢見ていたりしたんです」と明かした。そんな吉澤も、ファンから名前を呼ばれ続けることで、自身の名前を受け入れられるように。「私の名前は『嘉代子』なんだなって、今はやっと思えるようになりました」と語り、名前や故郷への想いについて歌った“メモリー”を、弾き語りでゆったりと歌い上げた。
再びメンバーを呼び込むと、ツアーの思い出についてトーク。関根は「私は吉澤嘉代子にメロメロになりました」、YUNAは「こんなに打ち上げが楽しいバンドはないくらい、楽しくて。楽屋でもずーっとしゃべってたよね~」と振り返る。弓木は、ツアー前のやり取りを思い返しながら「嘉代子ちゃんが今回は“大人の青春”“今が青春”っていうテーマにしたいと言ってて。大人になっても、こんな青春気分でみんなと演奏できるんだなと思って、本当に幸せで。4人で演奏できるのが嬉しくて嬉しくて、たまりませんでした」と語った。思い出を噛みしめながら、ラストナンバーの“夢はアパート”へ。アウトロのかき回しでは吉澤がギターをかき鳴らしながら倒れ込むなど、今まで見せたことがないような激しいパフォーマンスも。4人ともはじけるような笑顔を浮かべ、ライブを締めくくった。

しかし、終演後も拍手は鳴りやまず、メンバーが再登場。予定外のダブルアンコールに吉澤は「持ち曲がないんですけど、何が聴きたい?」とファンに問いかける。すると、大多数が“ギャルになりたい”をリクエスト。ダンスパートで流していた同期音源は準備が間に合わなかったため、弓木がその場でアレンジを指示し、急遽フルコーラスを生演奏することに。「責任とって、絶対盛り上がってよ!?」と吉澤が煽ると、クラップや合唱、コール&レスポンスなど、フロアはこの日一番の盛り上がりを見せた。目の前の光景に感極まったのか、吉澤も歌いながら感情を高ぶらせ、パワフルに歌唱。最後には涙を見せて「みんな気を付けて帰ってね! 健康でいてね!」と思いやり、温かな雰囲気が漂う中、ツアーは完結した。
第2の青春を駆け抜けた吉澤は、輝かしい思い出を胸に、次なるステージへと歩みを進めていく。2026年5月、舞台は自身最大キャパシティとなる東阪NHKホールツアーだ。今回のツアーでまた新たな一面を見せた彼女が、次はどんな景色を見せてくれるのか。今から待ち遠しい。(文/神保未来)
