回遊型オールナイトアートイベント『BENTEN 2 Art Night Kabukicho』が11月1日(土)、11月2日(日)、11月3日(月・祝)の3夜にわたり開催される。
戦後復興期から前衛芸術家たちが活動の拠点とし、現在も日本最大の歓楽街として独自の文化を育んできた歌舞伎町を舞台に、国内外のアーティストたちがさまざまな表現を繰り広げる同イベント。昨年に続き2回目の開催となる。
今回のテーマは「都市の再野生化」。都市化が進み、あらゆるものが管理され制度化されていく中で、本来の創造の衝動や自由な表現がどのように生き残り進化しうるのかを歌舞伎町で検証する試みだ。
テーマ:都市の再野生化
Chim↑Pom from Smappa!Group
「100年に一度」と称される大規模な東京の再開発は、劇的な改造を通じて街の秩序を強化する一方で、生物多様性や「都市の野生」を排除してきた。しかし、「夜の街」歌舞伎町は異質である。再開発と並行して、トー横や立ちんぼ、ネズミの爆発的増加、悪質ホストの問題など、さまざまな「不都合」が目立つようになった。
歌舞伎町は、東京で唯一、再開発を契機に「再野生化」している街だと言えるだろう。
さまざまな不幸が報道される事態である一方で、ここは戦後の闇市からアングラ文化、暴力の排除といった治安維持のいたちごっこに至るまで、常に制度の隙間を再生産してきた街でもある。資本を受け入れつつ狂乱化する、その底が抜けたような破壊衝動と開放性は、均一化する東京において稀有なアイデンティティを示し、皮肉にも最も賑わう街となっている。
「野生」の歴史と現在性を、奇しくも再開発と足並みを揃えて誕生した多くのBENTENの会場から検証してみたい。
*本テーマは、都市社会学者・仙波希望氏との会話を引用したものである
会場は前回に引き続き、王城ビル、新宿歌舞伎町能舞台、デカメロン、WHITEHOUSE、東京砂漠など。アーティストが街の空間と対話しながら創作を行い、鑑賞者自身も街を歩き作品と交わる体験を通して、都市と芸術の関係を問い直す。Chim↑Pom from Smappa!Groupらのキュレーションにより、さまざまなジャンルのアーティストが歌舞伎町に集結する。

やなぎみわの作品が王城ビルのワンフロアと新宿歌舞伎町能舞台にて展示されるほか、最終日には『BENTEN 2』のために構成された特別公演を開催。唐組は批評家・多木浩二の考察と新宿で生起したアクションのアーカイブを交差させる演劇的展示を実施。唐十郎率いる「状況劇場」のタイトルを再解釈し、唐組『紙芝居の絵の町で』で用いられたセットを中心に構成する。
また、『DOMMUNE KABUKICHO』SATELLITE STUDIOが王城ビルで3日間開催。VMOによる2DAYSセッションでのMerzbowとの初共演や飴屋法水とのコラボや、∈Y∋(BOREDOMS)のコンダクトによる200名超えのシンバル演奏『Arv100』の7画面インスタレーション展示、JAZZDOMMUNISTERS=菊地成孔×大谷能生によるプログラムなどがラインナップされている。

そのほか王城ビルでは、磯村暖のキュレーションによるMES、三好彼流、齋藤帆奈の3人展『Polyparallax』や、アーティストが表現、物販、飲食などを展開する『アー横』、『活弁天映画祭』などが行われる。
WHITEHOUSEでは、建築コレクティブ・GROUPによる1975年MoMAにて開催された『Shinjuku: PhenomenalCity』展を軸に、新宿の100年について考える展示を実施。建築家・伊東豊雄のトークも予定されている。

デカメロンでは、下司悠太によるDJと味噌仕込みが同じ空間に共存する参加型ワークショップが開かれる。自分で仕込んだ味噌は持ち帰り可能。また、東京砂漠が会田誠による極小アートサロン・バーの芸術公民館として3日間限定復活し、会田らが日替わりバーテンダーとして来場者を迎えるほか、THE FOUR-EYEDではぼく脳による『フォー横闇市場』が展開される。
『BENTEN 2 Art Night Kabukicho』

■テーマ:都市の再野生化
■会期:2025年11月1日(土)15:00-5:00/11月2日(日)15:00-5:00/11月3日(月・祝)15:00-23:00
※会場によって開場時間が異なります。公式WEBサイトやSNS等によりご確認ください。
■会場
歌舞伎町地区一帯(王城ビル/歌舞伎町能舞台/デカメロン/WHITEHOUSE /東京砂漠(旧芸術公民館) /THE FOUR-EYED ほか)
※シネシティ広場にて歌舞伎超祭2025を同時開催予定
■公式ウェブサイト http://benten-kabukicho.com
■Instagram https://www.instagram.com/benten2025_kabukicho
■主催:歌舞伎町アートナイト実行委員会
■連携:歌舞伎超祭2025、歌舞伎町EXPANDED、FINALBY ( )、「生きられた新宿」実行委員会
■協賛:歌舞伎町商店街振興組合、遠山正道、東急株式会社
■後援:新宿区、一般社団法人新宿観光振興協会
■助成:アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
■協力:The Chain Museum、株式会社AI AGENT、一色事務所、株式会社 ユニカ
Artist
やなぎみわ/安田登/金沢霞/渡邉尚/JanMah/DOMMUNE/宇川直宏/∈Y∋/COSMICLAB/VMO/Merzbow/菊地成孔/大谷能生/飴屋法水/新種のImmigrationsB x 野宮真貴/MES/三好彼流/齋藤帆奈/唐組/稲荷卓央/福本雄樹/原田つむぎ/山本十三/佐藤舞希子/三野新/尹苑/麻生子八咫/下司悠太/GROUP/吉見俊哉/卯城竜太/伊東豊雄/会田誠/岡田裕子/岡啓輔/布施琳太郎/トモトシ/平山匠/THE COPY TRAVELERS/〇九一四/KANE-ZANMAI 金三昧/存在飯店/コウシンキョク/高瀬川モニタリング部/山中suplex/玄人の乱/風のひと、/Pylon Shop/satokai publishing:-)/ヌトミック/村上豪(パンクロッカー労働組合・赤い暴動バンド)/青い風よ(Aokid+酒井風+よだまりえ)/今尾拓真(Ft. 菊池航, 田上碧)/M集会/素人の乱残党ラジオ/Modern Angels/トモ都市美術館/浅間温泉だらず荘/モテギミユ/透明輻射/芳賀菜々花/ぼく脳 …and more!
プロジェクトメンバー
歌舞伎町アートナイト実行委員会:卯城竜太、手塚マキ、山本裕子
キュレーター:Chim↑Pom from Smappa!Group(卯城竜太、エリイ、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求)、山本裕子、涌井智仁、池田佳穂、磯村暖
アートディレクション・デザイン:林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)、Smappa!Group
PR:山本彩、Smappa!Group
プロジェクトマネージャー:芦部玲奈、中村奈央
チケット情報
ArtSticker(https://artsticker.app/events/94416)にてお得な前売りチケット販売中(10/31 23:59まで)
一般(1DAYチケット):3,000円(前売)、3,500円(当日)
一般(フリーパス)*3日間入場可:6,000円(前売)、7,000円(当日)
18歳未満:2,500円
中学生以下:無料
個人協賛:BENTEN応援チケット 1口 10,000円
※一部プログラムは別途料金のお支払いが必要となります。
※18歳未満の方は、条例により22:00~5:00の入場をご遠慮させていただきます。
※中学生以下の方は保護者の同伴が必要となります。
※障がい者手帳をお持ちの方とその同伴者(1名まで)については、無料とさせていただきます。会場内、また会場までのご移動については、同伴者の方に介助いただきますよう、よろしくお願いいたします。
※王城ビル、新宿歌舞伎町能舞台、デカメロン、WHITEHOUSE、東京砂漠にはエレベーターがございません。フロア間の移動はすべて階段をご利用いただきます。
※当日に限り何度でも再入場可能です。
※開場時間等に変更が生じる可能性がございます。ご来場前に必ず公式WEBサイトやSNSにより最新の情報をご確認ください。
※当日チケットのご購入は、王城ビルのみで行います。また、オンラインでチケット購入済みの方も、王城ビル受付にてチェックインを行います。ご来場の方は、最初に必ず王城ビル受付へお越しください。
やなぎみわ
「BENTEN 2」のメインアーティストとして、ジェンダー、老い、生死などをテーマに世界的に活躍するアーティスト・やなぎみわ氏が、王城ビルのワンフロアと新宿歌舞伎町能舞台にて展示を行います。また最終日の11月3日(月・祝)には、「BENTEN 2」のために構成された特別公演を開催します。

1 「ムネーメー」[展示]
髑髏を投げ続ける、木製の「投てき機」は、ハムレットの墓掘りのシーンのための道具であり、実際に2019年のやなぎの個展「神話機械」のパフォーマンスで使用された。ムネーメーは、ギリシャ神話の三姉妹のひとりで「記憶」を司る女神。他の2人の姉妹は、それぞれアオイデー「歌」、メレテー「演出」である。
会場:王城ビル
日時:全日(11/1(土)15:00-5:00/11/2(日)15:00-5:00/11/3(月・祝)15:00-23:00)

2「黄泉平坂 〜排斥と遊戯〜」[パフォーマンス]
「黄泉平坂 〜排斥と遊戯〜」は、たわわに桃の実った黄泉平坂(よもつひらさか)で、女神と男神が対峙する舞台である。『古事記』によれば、火の神を生んだ火傷がもとで亡くなった女神、イザナミを追い、あの世に向かった男神、イザナギは、変わり果てた妻の姿に驚いて逃げ出してしまい、追っ手を払うため桃の実を投げつけたという。万物を産み、最後に火や鉱物を産み出した女神は、死の国へ追いやられることになる。黄泉平坂は、男神と女神を、それぞれ生死の領域に分かつ場所となった。この奇妙な「神話」が誰によって語られたのかは不明だが、今回の舞台では、排斥された女神イザナミが、本来の姿を現して男神に対する姿が見どころとなる。男神イザナギを下掛宝生流ワキの名手である安田登が、これまでにイザナミを演じてきた琵琶奏者、金沢霞と、特異な身体表現者である渡邉尚が、2人で女神イザナミを演じる。
会場:新宿歌舞伎町能舞台
日時:2025年11月3日(月・祝) ※時間・料金等の詳細は後日発表します。
作演出:やなぎみわ
出演:
男神イザナギ:安田登(下掛宝生流ワキ方能楽師)
琵琶法師・女神イザナミ:金沢霞(琵琶奏者)
桃園の女・女神イザナミ:渡邉尚(身体研究家・サーカスアーティスト)
照明:藤本隆行
舞台監督:黒飛忠紀

3「黄泉平坂 よもつひらさか」[展示]
会場:新宿歌舞伎町能舞台
日時:2025年11月1日(土)、11月2日(日) ※時間等の詳細は後日発表します。
深夜の果樹園を大型カメラで写し取った写真作品「女神と男神が桜の木の下で分かれる」をはじめ、女神イザナミの新たな姿を描いたスケッチや立体作品、能舞台上では、能楽師による実演の映像が展示される。
生きられた新宿 「状況」劇場 [展示] [パフォーマンス]

1975年にMoMAで開催された「新宿」展を起点に、3会場で展開される「生きられた新宿」展の一会場として、批評家・多木浩二の考察と新宿で生起したアクションのアーカイブを交差させる演劇的展示を行う。唐十郎率いる「状況劇場」のタイトルを再解釈し、唐組『紙芝居の絵の町で』で用いられたセットを中心に構成。パフォーマンス的空間を創出しつつ、新宿という都市を状況の舞台と捉え、その劇場性を可視化する。
会場:王城ビル
日時:全日(11/1(土)15:00-5:00/11/2(日)15:00-5:00/11/3(月・祝)15:00-23:00)
※パフォーマンス時間等の詳細は後日発表します。
出展:唐組、山本十三ほか
パフォーマンス出演:稲荷卓央、福本雄樹、原田つむぎ
DOMMUNE KABUKICHO [展示] [パフォーマンス] [トーク]

会場:王城ビル
日時:全日(11/1(土)15:00-5:00/11/2(日)15:00-5:00/11/3(月・祝)15:00-23:00)
※パフォーマンス時間等の詳細は後日発表します。
現代日本のアートシーンの中でもエクストリームな存在感を放つ宇川直宏が、ソーソャルストリームの時代を見据えた新たな文化の発信拠点として、2010年に開局させた日本初のライブストリーミングスタジオ「DOMMUNE」!! 宇川はスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの”現在美術作品”と位置づけ、ライフログアートを全うしている。開局以来、世界各国から様々なゲストが来日のたびに出演する唯一無二の文化プラットフォームとして存在し続けるそんなDOMMUNEが、渋谷PARCO9Fの基地「SUPERDOMMUNE」から拠点を飛び出し、17箇所目のサテライトスタジオ「DOMMUNE KABUKICHO」を昨年に続き王城ビルの地下一階にOPEN!!! 「BENTEN 2025」会期中連日ここに籠城し、サイトスペシフィック・コアなプログラムの数々をお見舞いする!!!!!
限定復活「芸術公民館」[飲食]
会場:東京砂漠
日時:全日(11/1(土)/11/2(日)/11/3(月・祝))※時間等の詳細は後日発表します。
「芸術公民館」は、現在「東京砂漠」が営業している場所において2010年から2012年にかけて、現代美術作家の会田誠が主に若手芸術家に向けて構えたアートサロン・バーでした。時を経て2025年現在に至るまで、会田と縁のある有志が営業形態を変えながら芸術公民館の灯火を受け継いでいます。 このたび、BENTEN2にあわせて期間限定で芸術公民館を復活いたします。若手作家からベテランまで、さらには有象無象の美術関係者とともに、歌舞伎町のディープなスポットをお楽しみください。
会場:東京砂漠
日時:全日(11/1(土)18:00-5:00/11/2(日)18:00-5:00/11/3(月・祝)18:00-23:00)
11/1(土)18:00-23:00:会田誠、23:00-5:00:岡田裕子
11/2(日)18:00-23:00:岡啓輔、23:00-5:00:布施琳太郎+トモトシ
11/3(月・祝)18:00-23:00:(調整中)
チケット:BENTEN2 チケット
Polyparallax [展示] [パフォーマンス]

右:「大蹴球」三好彼流(2025)撮影:海野林太郎
会場:王城ビル 4F
日時:全日(11/1(土)15:00-5:00/11/2(日)15:00-5:00/11/3(月・祝)15:00-23:00)
料金:BENTEN2 チケット
アーティスト:齋藤帆奈、三好彼流、MES
王城ビル4階では展覧会「Polyparallax (副題: Parallactic Visions of the City/ 視差的都市景)」を開催いたします。本展では、齋藤帆奈、三好彼流、MESの三作家の実践のなかでも特に、非人間的なスケールに支えられつつ、人間の集いと交流の場でこそ立ち現れていく表現を紹介します。効率性を追求しながら発展してきた都市は網目状に広がり続け、その構造は脳内の神経細胞や銀河団にも喩えられます。都市は人工物でありながら自然の産物でもあるのかもしれません。しかし、ニューロンの絶え間ない変化や可塑性と比較すると、鉄筋コンクリートの網は私たちのスケールに対してあまりに頑丈すぎるようにも思えます。もし人間が家畜でないのならば、この強固な網目とは別の在り方で、野生の生き物や自然現象が潜り込む余白やネットワークをあらためて感受し、共有していく必要があるでしょう。歌舞伎町という街がとりわけそのような余白を享受できる場所と仮定し、非人間的なスケールと複数の視点が織り重なり「視差的都市景」の極点として浮かび上がってくる、そのような構想のもとに本展を企画します。
アー横 [飲食][物販][ポップアップ展示][パフォーマンス][トーク]

会場:王城ビル 1F
日時:全日(11/1(土)15:00-5:00/11/2(日)15:00-5:00/11/3(月・祝)15:00-1:00)
※各プログラムの詳細スケジュールは後日公開予定
料金:BENTEN2 チケット
再開発ブームのなかで無数に増え続ける「横丁」に対するオルタナティブな試みとして、アーティストやアートコミュニティ、多様な文化実践者が全国各地から集まり、王城ビル1階で、飲食・物販・ポップアップ展示・パフォーマンス・音楽ライブ・ワークショップ・トークショーなど多彩なプログラムを展開する最もカオスな横丁イベントが開催される。
昼間から明け方まで時間帯によってイベント内容や出店者ががらりと入れ替わり、まるで都市の生態系そのもののように、絶えず変化し続ける体験を提供する。カオスでありながらどこか居心地の良さを感じさせる、そんな何度でも訪れたくなる場を目指す。
さらに最終日は他会場が23時で終了する中、アー横では“ボーナスタイム”として25時まで営業を延長し、ラストにはトークショーの開催も予定している。
出店:(順不同)
KANE-ZANMAI 金三昧/存在飯店/高瀬川モニタリング部/〇九一四/コウシンキョク/satokai publishing :‑)/風のひと、/山中suplex/玄人の乱/Pylon Shop/Modern Angels/トモ都市美術館/浅間温泉だらず荘/and more…
音楽ライブ・パフォーマンス:(順不同)
ヌトミック/村上豪(パンクロッカー労働組合・赤い暴動バンド)/今尾拓真 (Ft.菊池航,田上碧)/青い風よ(Aokid+酒井風+よだまりえ)/モテギミユ/透明輻射/芳賀菜々花/and more…
トークショー:素人の乱残党ラジオ/and more…
ポップアップ展示:(順不同)
平山匠/THE COPY TRAVELERS/〇九一四
活弁天映画祭 [パフォーマンス]

会場:王城ビル 5F
日時:11/1(土)15:30-16:10、18:30-19:10
11/2(日)15:30-16:10、18:30-18:10
料金:BENTEN2 チケット
予約:不要
出演:麻生子八咫
活弁映画は日本にしかない独自の文化であり、落語など1人語りの芸風や、文楽など対象と分かれる語り芸の伝統、欧米映画の解説需要などから発展したとされる。サイレント映画時代の形態と思われていたが、現代版活弁士たちにより新たな表現として更新されている。脚本に縛られず、ひとつの映像を多様な作品に変容させるのが特徴だ。
今回のBENTEN映画祭では、麻生子八咫(あそう こやた)が活弁を披露する。父・麻生八咫とともに「活弁教室」を主宰し、海外での英語活弁や脚本、演出など、幅広い活動を行う表現者であり、東京大学大学院で文化研究を学んだ貴重な活弁研究者でもある。
生きられた新宿 「Phenomenal City」 [展示] [トーク]

1975年MoMAで「Shinjuku: The Phenomenal City」と題された奇妙な展覧会が開かれる。今日まであまり振り返られることのなかったこの「新宿展」は、当時の西洋と日本の文化的・地政学的なギャップを皮肉的に表現している展覧会であり、ある限定的な視点によって縮減された「TOKYO」を登場させた。この展覧会にヘンリー・スミスやピーター・グラックと並んでディレクターとして招聘されていたのが、批評家の多木浩二である。優れた都市鑑賞者であった多木によって表現された新宿の姿は文字通りキッチュで倒錯的だが、「新宿」をある象徴として表現するための方式は、未だこの「新宿展」以降発明されていないようにも思える。
この展覧会では、変形され、ある種理想化された歪な新宿の姿から現在の新宿、ひいては都市の100年を考えてみようと思う。
「新宿展」に際して多木浩二は2000枚あまりの新宿の写真を残した。プライベートな経験のスナップが並んだこの写真たちには、1975年の多木の視線が折り畳まれている。そこから多木浩二モデルとしての新宿を分析し、展開することで、あり得る都市の姿を描写したいと思う。それは2025年の多木のいない多木の新宿を生成することであり、私たちの知らない私たちの新宿へ身を投企することになるはずである。
会場:WHITEHOUSE
日時:11/1(土)〜11/16(日)13:00-22:00(※11/16(日)まで開催)
料金:500円 または BENTEN2 チケット
キュレーション:涌井智仁
アーティスト:GROUP
リサーチ協力:吉見俊哉、中川道夫、多木陽介、早稲田大学空間映像研究室
【対談イベント】
11/2(土)19:00-20:30:吉見俊哉×卯城竜太 (Chim↑Pom from Smappa!Group) 会場:王城ビル
11/3(日)15:00-17:00:吉見俊哉×伊東豊雄 会場:WHITEHOUSE
※本展示は、新宿の3会場で構成される「生きられた新宿」(https://www.ikiraretashinjuku.com/)の一環として開催されます。
下司悠太 生活パーティー feat.みそ仕込み [展示] [パフォーマンス]

歌舞伎町にアートスペースとバーを構えるデカメロンでは、「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」の一環として、個展「What’sEntertainment?」を開催中の下司悠太による「生活パーティー feat.みそ仕込み」の公開生活(実演)を開催します。
下司悠太は、自ら仕込んだ味噌で日々味噌汁をつくり、普段着を自らの手で仕立て、自作の家具で生活してきました。そうした日々の実践や思考を、執筆・美術展示・楽曲制作といった多様な方法で発表しています。来場者はイベント中、下司と共に「みそ仕込み」に参加し、自分で仕込んだ味噌は持ち帰ることができます。また、同じ空間で奏でられるDJの音楽を、人間、仕込まれる味噌、麹菌などと共にただ楽しむことも可能です。そして個展会場にはこの期間だけの特別な作品も展示される予定です。
BENTEN 2 Art Night Kabukicho終了後も、それぞれの場所で発酵を続ける「歌舞伎町仕込みの味噌」のその過程をお楽しみください。
会場:デカメロン
日時:全日(11/1(土)15:00-3:00/11/2(日)15:00-3:00/11/3(月・祝)15:00-23:00)
【生活パーティー実演スケジュール】
11/1(土)16:00–21:00 /11/2(日)16:00–21:00 /11/3(月・祝)16:00–21:00
“生活パーティー”参加費:BENTEN2 チケットをお持ちの方は参加無料。その他の方は参加費2,500円。自分で仕込んだ味噌はお持ち帰りいただけます(600ml以上の容器持参推奨)。
フォー横闇市場 [展示] [物販] [パフォーマンス]

街は物で溢れ、衣類や食品の大量廃棄が問題視される現代。古着の異常な高騰やメルカリ等のフリマアプリの出現など、マーケットが再び野生化したその姿は「闇市」と呼べるだろう。この市場では食料や雑貨はもちろん、概念や体験など従来のマーケットでは決して見ることのない物が購入できる。「闇市」がオーバーグラウンドになっている今、この新宿歌舞伎町という街で再び闇市を復活させようと思う。
会場:THE FOUR-EYED
日時:全日(11/1(土)12:00-21:00/11/2(日)12:00-21:00/11/3(月・祝)12:00-21:00)
料金:不要
アーティスト:ぼく脳