2026年2月11日(水・祝)から5月11日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館にて『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』が開催される。
同展は、テート美術館のコレクションを中心に1990年代の英国美術の軌跡を多角的に紹介する企画で、約60名の作家による約100作品を通して、この時代が世界のアートシーンに与えた影響を検証するもの。ダミアン・ハースト、ジュリアン・オピー、ルベイナ・ヒミド、スティーヴ・マックイーン、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンスなど、サッチャー政権時代を経て緊張感漂う英国社会に登場した実験的な作家たちの作品を展示。大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などをテーマとし、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法を用いた作品の数々が紹介される。
「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト=YBA」と呼ばれ、新しい視点で素材を選び、制作して発表の機会を積極的に開拓していったダミアン・ハーストや同世代の作家たちの活躍により、90年代の英国のアートシーンは注目を集めていった。同展では、90年代の英国で起こったアート、音楽、ファッションの革命的ムーブメントの核心を体験できる。
英国の国立美術館のひとつであるテート美術館は、英国政府が所有する1500年以降の英国美術、および世界各地の近現代美術のコレクションを管理、展示している。国内には4つの美術館を展開しており、その第一の拠点であるテート・ブリテンはロンドンのミルバンクに位置し、1897年の開館以来、英国美術のナショナルコレクションの本拠地となっている。最大規模を誇るテート・モダンは、ロンドン中心部のテムズ川沿いにある旧発電所を再利用し、2000年に開館。近現代美術を専門とする美術館としては、世界で最も多くの来館者を誇る。
開催発表に寄せて、テート美術館のキュレーター2名からのコメントも発表された。
テート美術館にとって初めての「90年代の英国美術」を振り返る展覧会を、東京と京都の名高い美術館で開幕できることを、大変光栄に思います。1990年代の英国は、政治・経済・文化の面で大きな変革を経験した時代でした。そうした社会状況のなかで、多くのアーティストたちが新たな表現や探求に挑戦していきました。来場者の皆さまにとって、本展覧会が、変化に富む英国社会の中で生まれた作品や作家の精神の神髄に触れる機会になればと願っています。変化の著しい現代においてもなお、この時代の芸術は重要な意味を持ち続けています。
グレゴール・ミューア(Gregor Muir)
1990年代において英国のアートシーンと深いつながりを持っていた日本で本展を開催できることを、大変うれしく思います。展覧会の企画を進める中で、多くのアーティストが日本で作品を発表したり、日本から創作のインスピレーションを得たりするなど、両国の間に数多くのつながりがあることを改めて確認することができました。英国の歴史の一時代を従来の美術史的な枠組みを越えて掘り下げ、英国各地で展開されたアーティストたちの活動とその成果を一つの物語として描き出すことは、とても意義深く充実した経験でした。来場者の皆さまにも、地域間のつながりや、変革と創造に満ちたあの時代の空気を感じ取っていただけたら幸いです。
ヘレン・リトル(Helen Little)
同展は、東京展の後、2026年6月より京都市京セラ美術館へ巡回する予定。
『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』 (YBA & BEYOND: British Art in the 90s from the Tate Collection)
【東京展】
会期: 2026年2月11日(水・祝)〜2026年5月11日(月)
会場: 国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
主催: 国立新美術館、テート美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、朝日新聞社
一般のお問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
巡回情報
【京都展】
会期: 2026年6月3日(水)〜2026年9月6日(日)
会場: 京都市京セラ美術館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
主催: テート美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ABCテレビ、キョードーエンタテインメント、京都新聞、FM802/FM COCOLO、京都市