台風クラブが、現在制作中のドキュメンタリー映画の自主上映実現に向けたカンパ作品として、新曲”身も心も”を8月23日(土)にデジタル版と数量限定のソノシートの2形態でリリースする。

販売は、同日に開催される東京・武蔵野公会堂での単独公演の会場と、NEWFOLKのBandcampにて行われる。価格はカンパ制で、ライブ会場ではソノシートのみ1,000円〜、Bandcampではデジタル版が500円〜、ソノシート+デジタル版が1,500円〜となっている。
また、今回のリリースに合わせて、メンバーでありドキュメンタリー映画の監督である山本啓太による手記と、ドキュメンタリー映画の特報part2が公開されている。映画は2026年公開予定で、上映館や上映場所の募集も引き続き行っている。
山本啓太 / ”身も心も”手記
台風クラブをはじめて10 年が経った。
バンドのドキュメンタリーを撮りはじめたのは5 年前のこと。
僕はずっと、フィクション映画に憧れていた。でも、毎日自分にいいことなんてなくて、
他人の現実に目を向ける余裕もなかった。だから、ドキュメンタリーはあまり好きじゃな
かった。
自分で書いた企画や脚本では、商業映画は撮れない。
知名度も受賞歴もない自分に、お金を出してくれる会社なんてなかった。
「才能を信じて賭けてくれる人が現れるかもしれない」──そんな淡い期待も、結局は甘
かった。
そもそも、自主でもなんでも、手段を選ばず撮っている人にしか、そういう運はまわって
こないと悟った。
だからこそ、自分にはもう自主制作しか道が残っていない。
でも、日々の仕事と生活に押しつぶされて、自主制作を続ける気力さえ残っていなかっ
た。
映画、MV、ライブ映像、CM。何を作っても、監督として目に見える評価を得ることはで
きなかった。
「評価なんて気にするな」と言われることもあるけれど、僕はこれで飯を食いたい。
もちろん、お金を気にせず自主制作を続けることもできた。
でも、それは僕が憧れた映画とは違っていた。
どこか中途半端で、気持ちが乗り切らへんし、
もっと、身も心も削り尽くすような制作がしたい。
これは僕の人生で、最後までやりたい仕事だから。
30 代半ばになって、もう映画監督としてのキャリアは詰んでるんだって自覚もあった。
だから、自分のこと、自分のバンドを撮るしかなかった。
本当は一番したくなかったこと。でも、それしか僕には映画を撮る方法がなかった。
本来なら、2 年前のツアーで撮影は終える予定だった。
キネマ倶楽部でのワンマンの前に、「身も心も」は完成していた。
映画のために1 曲、新しく作ってほしくて、石塚に頼んだ。
でも、映画は終わらなかった。
あれから2 年。いまだに撮影は続いている。
映画の“結末”が見えず、どうしても終わらせることができなかった。
「バンドはまだ続く」──そんな安っぽい言葉では終われなかった。
いつまで続くかもわからない危うさもある。
人間の人生の一部を描くのに、「続くからいい」で片付けるのは、真摯じゃない。僕は、
そういう人にはなりたくなかった。
最近は気を病み、体調も崩した。仕事も休んだ。
それでもようやく今、完成に向けて準備が整った気がしている。
作品は、人に見てもらって初めて完成すると思っている。
これまで未完で終わった作品たちや、ノートの中で眠ったままの企画たちには、本当にご
めんなさいという気持ち。
だからこそ、これからの人生でもっと映像作品をかたちにしていきたい。
このドキュメンタリーは、その第一歩になると信じている。
映画をつくるには、どうしてもお金がかかる。
今回のソノシートの売上は、その一部を映画の制作費にあてさせていただきます。
少しだけ、僕のわがままをどうか、許してください。
完成した映画を、みなさんに見てもらいたいです。
その日を考えながら、今も編集を続けています。
2025 年8月4日 山本啓太
台風クラブ「身も心も」

品番:THX-144
収録曲(片面プレス):
SIDE A 身も心も
※ライブ会場及びNEWFOLK Bandcampでのみ販売
・NEWFOLK Bandcamp
https://taifuclub.bandcamp.com/album/