音楽家の高田漣(たかだ・れん)による小説『街の彼方の空遠く』が6月27日(金)に刊行される。
高田にとって初の小説となる同作は、自身の故郷である東京・吉祥寺を起点に過去 / 現在 / 未来 / 平行世界を縦横に描いた「SF的青春私小説」。水曜社が刊行する『ケヤキブンガク』掲載の3作品に「幕前」「幕間Ⅰ」「幕間Ⅱ」を加えて刊行される。父であるフォークシンガー・高田渡とも交友の深かった友部正人をはじめ、シバやはちみつぱいといったアーティストたちの楽曲からの引用 / オマージュが随所に現れるほか、カッパ、いせや、まめ蔵、2024年4月に閉店したペンギンカフェといった飲食店、2014年に閉館した映画館・バウスシアターなどといった吉祥寺ゆかりの名店も作中に描かれている。
刊行にあたり、高田からのコメントと、いとうせいこうと中島京子による推薦コメントが到着している。
自分にとって物語を書くという行為は〈弔鐘〉をうつ、あるいはその響きに耳を傾けることなのだと思う。
でも、だから、こそ、
物語の中でならできることがある。
物語の中でなら再会できる人がいる。
物語の中でならあの風景をあの匂いを感じられる。
この物語が、この響きが多くの方々に届くことを願うばかりです。高田漣
イカした音楽と引用の嵐を伴って、
過去のJR中央線からあらゆる別世界へ。
これこそ異種のコトバが飛来しまくる
POP文学のふるさとだ。
いとうせいこう吉祥寺の愉快な面々と時空を駆けめぐる漣さん。
1994年の大学生、戦前のバンドマン、ヘンテコな未来人、一頭の蛾も道連れ。
詩(ことば)と音楽の奔流に圧倒されつつ、
なんとなく人恋しくなる傑作小説。
中島京子
『街の彼方の空遠く』

著者:高田漣
仕様:46判/並製/304ページ
発売日:2025年6月27日
税込定価:2,607円(本体2,460円)
ISBN:978-4-309-03971-8
装幀:大島依提亜
装画:マッチロ