寺尾紗穂による書籍『戦前音楽探訪』が6月23日(月)に発売される。
同書は、シンガーソングライター / 文筆家の寺尾紗穂が、音楽誌『ミュージック・マガジン』で2019年から2024年にかけて連載していたものに、書き下ろしを加えて書籍化した音楽エッセイ集。知られざる民謡、わらべうた、流行曲などの日本の戦前音楽に分け入り、歴史的視点を交え、作詞 / 作曲家の人生まで掘り下げながら、その豊潤な物語を浮き彫りにする。表紙イラストはkatappo、デザインはフィッシュマンズのオリジナルギタリストとしても知られるデザイナーの小嶋謙介が担当した。
なお、寺尾は日本各地で歌われてきた労働歌を中心としたカバーアルバム『わたしの好きな労働歌』を6月25日(水)にリリース予定。同作から”エンヤマッカゴエン”と”板橋の棒うち歌”が先行シングルとしてリリースされている。
ミュージック・マガジン7月増刊号『戦前音楽探訪』

寺尾紗穂(著)
定価2,200円(本体2,000円)
四六判288ページ
<もくじ>
■ まえがき
■ 古謡の世界
□ 移民口説
□ 「安里屋ユンタ」の変遷
□ 「かっぽれ」の周辺
□ 竹富のプライドと「新安里屋ユンタ」
□ 山梨の「えぐえぐ節」
□ 海を渡った「五木の子守唄」
□ 「炭坑節」をめぐって
□ 盆歌に残る間引きの記憶
□ 「三九郎の歌」
□ 「浜子歌」
□ お前さんとならば
□ 「月ぬ可愛しゃ」
□ 性と死の盆歌
□ 逗子の「七草なづな」
□ 古謡と童謡のはざま
□ 「北海盆唄」と卑猥歌
■「世界」との出会い
□ 海を渡ったマルフクレコード
□ 中国民謡「太湖船」と軍楽隊
□ 「大きな古時計」
□ 宮城道雄の朝鮮体験
□ 堀内敬三
□ 日本版「虹のかなたに」
□ ドヴォルザークと賢治
■ 明治から昭和へ
□ 鳥取春陽
□ 女工たちの歌
□ 中山晋平の土着性
□ ハーモニカの隆盛
□ 田辺尚雄と『平安朝音楽レコード』
□ 服部良一を育てた大阪
□ 小唄勝太郎
□ 浅草オペラ
□ 武井守成
□ 読経のSPレコード
■ 戦争と音楽
□ 「隣組」
□ 長谷川一郎
□ 「象徴」になった平成天皇の歌
□ 好戦歌にも発展した「梅が枝節」
□ 岡本一平の「翼賛親子」
□ 満洲国国歌と戦時歌謡
□ 音楽に罪はないのか──「君が代」と「海道東征」
□ 「支那の花嫁」
□ 灰田勝彦の歌
□ 永田絃次郎の玄海の歌
□ 「李さん王さん」
□ 「爆弾位は手で受けよ」
□ 特攻隊が作った替え歌
□ 「めんこい仔馬」
□ 幻の花蓮港音頭
□ 村の常会とSPレコード
□ 音楽が利用されるとき
□ 桃太郎とラジオ体操
□ 「南から南から」
□ 上野駅と東北
□ 北原白秋のナチス礼賛
□ 時雨音羽の「チンライ節」
■ つれづれなるエッセイ
□ 人は太古の昔から集い、歌い踊ってきた
□ 「愛してる」と歌うこと
□ 「聖者の行進」
□ 『この世界の片隅に』
□ あきれたぼういず
□ 『椿の海の記』
□ 忘れられた歌姫
□ 二人の女性作曲家
□ 明治のオルガニスト
□ 生者と死者
□ 著作権の野蛮
■ 解説(大石始)