映画『それでも私は Though I’m His Daughter』が6月14日(土)から全国で順次公開される。
同作は、オウム真理教教祖・麻原彰晃(松本智津夫)の三女である松本麗華(まつもとりか)に6年の取材を重ねたドキュメンタリー。監督は『望むのは死刑ですか オウム“大執行”と私 【告白編】』も手掛けた長塚洋が務めた。
地下鉄サリン事件などで社会を震撼させたオウム真理教。父が逮捕された1995年5月時点では12歳だった麗華には、以来、どこに行っても父の名、事件の記憶、そして「お前はどう償うのか?」という問いがつきまとってきた。「虫も殺すな」と説いたはずの教団の信徒たちが起こした数々の凶行に衝撃を受け、父が裁判途中で言動に異常を来したために、父がそれら犯罪を命じたこともまだ受け入れ切れない。父を死刑にする前に治療して事実を話させて欲しいと真相を求め続けたが、2018年7月、死刑執行は突然に行われた。

社会が父の死を望んだと感じ、極度の悲しみと絶望に陥った麗華は、それでも人並みの生活を営もうとするが、定職に就くことや銀行口座を作ることさえ拒まれる。国は麗華に対して教団の「幹部認定」をいまだに取り消さず、裁判所に不当を訴えても棄却されてしまう。映画では加害者の家族として現在も葛藤を抱えながら生きる麗華の姿が映し出される。


劇場公開決定にあたり、監督からのメッセージも到着。かつて松本麗華と対談をしたこともある現在91歳の田原総一朗から、オウム真理教による一連の事件当時は産まれてもいなかった24歳の春名風花まで、幅広い著名人によるコメントも公開された。
監督メッセージ
「加害者家族」は事件の一方の当事者だと知っていても、その苦しみや自分の人生を生きたいという切実な願いに、私たちはどれだけ目を向けてきただろうか? 世に最も憎まれた死刑囚の親族という究極の身の上にある主人公を追いながら、ずっと自らに問い続けていた。加害者への罰を求めることはたやすいが、ではその家族にどう向き合うべきなのか。映画を通じて当事者の存在を感じ、問いを共有し、考え続けていただけたらと願う。
―― 長塚洋
オピニオンコメント
「麻原の娘」として生まれ、「アーチャリー」として全国に存在を知られる。
生まれてくる環境など誰も選べないのに、彼女の人生はあまりにも苦難に満ちている。
それでも、前を向いて生きる麗華さんの姿に、背筋が伸びる思いがした。
―― 雨宮処凛(作家・反貧困活動家)ぼくには想像を絶する、
いつ終わるともしれぬ状況にいる彼女が
それでも懸命に生きている。
生きようとしている。
応援したい。と思った。
―― 田原総一朗(ジャーナリスト)ただ1人の娘として、女性として生きたかっただろう。仕事をして恋をして、友達と笑い合う。
そんな当たり前の人生を奪われ、喪失と向き合い続けるのは被害者や被害者の家族だけではない。
―― 浜田敬子(ジャーナリスト・元AERA編集長)言葉を選ぶ目元から伝わる悲しみ。穏やかに語る口元。そのギャップに胸が苦しくなる。12歳の頃からずっと、彼女の”生”は国や社会から拒絶されてきた。優しさを失わないために、何度、自分を殺したのだろうか。
―― 春名風花(女優・声優・アイドル)彼女がなにした?
―― 村本大輔(ウーマンラッシュアワー)彼女はとても脆い。そして圧倒的に強い。どちらかではない。どちらもある。つらいはずだ。嗚咽が聞こえる。吐息を感じる。でも彼女は前に進む。決して誇張ではなく、観ながら呼吸がうまくできなくなる。彼女がこれまで過ごした時間、現在、そしてこれからを思う。
多くの人に観てほしい。多くの人は観るべきだ。
―― 森 達也(映画監督・作家)
『それでも私は Though I’m His Daughter』

監督:長塚 洋 撮影:長塚 洋、木村浩之 編集:竹内由貴 整音:西島拓哉 アニメーション:竹原 結
音楽:上畑正和 特別協力:「それでも私は」上映委員会 配給協力:きろくびと 製作/配給:Yo-Pro
2025年|日本|カラー|119分 ©Yo-Pro
2025.6.14(土)、新宿K’s cinemaにてロードショー 他全国順次公開